研究課題/領域番号 |
23K01077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
本田 光宏 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (10642259)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 国際投資協定 / 公正・衡平待遇義務 / Cairn事件判決 / オフショア間接譲渡課税 / 制度的統合の原則 / 常設仲裁裁判所 / 国際租税法 / 国際投資法 / 国際通商法 / 競争法 / 国際経済法 |
研究開始時の研究の概要 |
国際租税法と他の国際経済法領域の交錯に関して、あるべき関係の探求が重要課題となってきている。国際租税制度と競争法、国際通商法等との関係については個々の交錯部分については研究が行われてきているものの、国際経済法全体の法秩序という大きな視点で、各法領域の相互関係を考察する研究はこれまでされていない。 そこで、本研究では、実際の仲裁事例や主要国のモデル投資協定等を調査し、国際租税制度へ適用されることが適切と考えられる国際経済法上の規律の範囲を明らかにすることを目的とする。この研究により、国際経済法全体の法秩序における国際租税法のあるべき位置づけを探ることにつながると考えられる。
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研究実績の概要 |
2023年度においては、投資協定に係る仲裁(裁判)例を中心に文献調査を行うことにより、国際租税制度へ適用されることが適切と考えられる国際経済法上の規律の範囲を明らかにすることを計画しており、インドにおけるオフショア間接譲渡課税の遡及適用に関する常設裁判所のCairn事件判決を素材とする海外論文をテーマとして、(公益社団法人)租税研究協会が主催する「国際課税研究」で報告を行い、その成果を「租税研究」887号に寄稿した。Cairn事件判決においては、税制の遡及適用が投資協定上の公正・衡平待遇義務違反か否かが主要な争点となったが、これまで公正・衡平待遇義務については、その内容が一義的でないこと等から、課税措置に対する適用への懸念も指摘されてきたところであるが、当判決においては、これまでの仲裁裁判例で示されてきた義務内容の明確化を踏まえて、判断基準としており、当規律についての新たな展開と位置付けられる。 また、当判決では、ウィーン条約法条約31条3項(c)の規定する制度的統合の原則の下では、租税条約の解釈に当たり、両国間で締結される投資協定や法の一般原則も考慮することが必要と示唆され、租税条約解釈の新たな重要論点の一つとして位置付けられると考えられる。 デジタル課税と国際通商法・投資法との関係については、国際取引法学会「金融税制部会」において、OECD/G20を中心に検討が進められている国際最低税率(「第2の柱」)と国際投資協定との関係について報告を行い、軽課税所得ルール(UTPR)や国内ミニマム課税(QDMTT)と国際投資協定の規律との関係性について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デジタル課税と国際通商法・投資法との関係及び国際投資協定の公正・衡平待遇義務に係る仲裁(裁判例)についての考察は計画通りであったが、研究会等での報告及びその内容の論考の作成に予定以上の時間を要したことから、国際投資協定上の他の規律(義務遵守、収用等)については文献調査の段階に留まっており、また、米・英・独・仏等のモデル投資協定における課税措置の取扱いの議論については未整理の状況である。
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今後の研究の推進方策 |
国際投資協定上の他の規律(義務遵守、収用等)についての文献調査、米・英・独・仏等のモデル投資協定における課税措置の取扱いの議論を整理した上で、実際の仲裁事例や主要国のモデル投資協定において、国際租税制度へ適用されることが適切と考えられる国際経済法上の規律の範囲の具体的な条項、その趣旨及び射程を明らかにするを予定している。
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