研究課題/領域番号 |
23K01084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
村山 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50345253)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 比例原則論 / 違憲審査基準論 / 財産権論 / 経済的自由権論 / 経済的自由 / 財産権 / 違憲審査の基準 / 精神的自由 / 福祉国家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アメリカ等の英語圏で展開されている進歩主義的財産権論の分析を通じて、①経済的自由権の保障根拠論と②違憲審査方法論を再考する。進歩主義的財産権論は、財産権の基礎にある多元的価値を、裁判所が比例原則を通じて調整することで、福祉国家と調和した財産権論を構築できると主張するものである。本研究は、進歩主義的財産権論の潮流の中で日本国憲法の経済的自由権を再考することで、福祉国家と調和し世界の比較憲法学と接続しうる経済的自由権論の可能性を拓こうとする。
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研究実績の概要 |
今年度は、下記の2つの論文が主たる業績である。第1は、「経済的自由権に関して裁判所の果たすべき役割はなにか――合衆国における近時の財産権論の潮流をふまえて」と題する論文の公表である。この論文は、①合衆国における情報主義的財産権論とその中核にある基本設計としての財産権論の検討、②人格的財産権論の意義と限界、③進歩的財産権論の意義と限界を検討し、そのなかで、④比例原則論が財産権論において果たす役割について検討するとともに、⑤日本の判例に照らして経済的自由権に対する裁判所の役割を検討したものである。この論文は、合衆国における近時の財産権論の潮流を踏まえて日本の財産権論を見直す契機となるものであるとともに、違憲審査基準論や比例原則論について経済的自由権論の文脈で再検討したものであると位置づけることができる。第2は、「合衆国における選挙制度をめぐる憲法上の規律――ルチョ判決における党派的ゲリマンダと政治問題の法理との関係を中心に」と題する論文の公表である。この論文は、選挙学会における過去の報告論文を公刊に値するかたちで整序したものであり、直接的には、①基準と準則、②個人の権利と集団の権利、③本物の政治問題と偽物の政治問題という視点から、合衆国における選挙制度をめぐる憲法上の規律について検討したものであるが、間接的には、④民主的政治過程と経済構造(たとえば選挙資金の問題)との関係、⑤合衆国と日本における違憲審査に関する問題(たとえば違憲審査基準論)についても再検討する契機となりうるものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合衆国における近時の財産権論の潮流をふまえて、経済的自由権に関して裁判所の果たすべき役割はなにかを検討する論文を公表することで、本研究の核心部分にかかわる問題について一定の解答を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
合衆国の財産権論の潮流を検討する中で、より広く、その背景にある違憲審査の手法に関する議論についても検討する必要があると思われたため、そのようなより広い視点からの研究にも着手することを考えてる。
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