研究課題/領域番号 |
23K01110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
坂本 一也 岐阜大学, 教育学部, 教授 (00320325)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 国際責任 / 国際平和活動 / 地域的機構 / 国際連合 / 国際組織の責任 |
研究開始時の研究の概要 |
地域的機構の役割が重視されるなか、国際平和活動においても国連と地域的機構の協働が一つの潮流となっている。こうした協働は国連憲章起草時に想定されていたものではなく、また、協働のための法的根拠も多様であるため、責任問題を含めて両者の関係を規律する法的枠組みは明確にはなっていない。本研究では、国連と地域的機構が協働する国際平和活動の事例分析を通じて、両者の関係を規律する法的枠組みがいかなるものかを明らかにする。その上で、この検討から複数の国際組織が関わる行為に適用される国際責任法理について考察する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、国連(安保理)と地域的機構が協働して実施する国際平和活動の事例分析を通じて、複数の国際法主体が国際違法行為に関与した場合の責任関係について、その法理の一端を明らかにすることにある。本年度は、1990年代以降展開されてきた国連の国際平和活動において、地域的機構が関与した事例、具体的には、国連と欧州連合(EU)・北大西洋条約機構(NATO)、アフリカ連合(AU)および西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が協働した国際平和活動について、先行研究、オンラインで入手可能な関連資料を収集し、分析を行った。 まず、国際平和活動における協働の態様は、国連と地域的機構が任務を分担して実施する場合、地域的機構から国連、国連から地域的機構に任務の継続的移行が行われる場合、国連と地域的機構が統合ミッションを実施する場合など多様であり、時系列または機能により明確に区分できるわけではないことが分かった。また、関連する安保理決議によれば、地域的機構への授権、地域的機構の活動への事後の許可、資金援助など国連(安保理)と地域的機構の権限関係、国連による地域的機構の統制方法も様々であることが確認できた。 本年度の関連事例の分析は予備的なものであり、次年度以降、国連と地域的機構が協働した特徴的ないくつかの事例を取り上げ、先行研究の検討ととともに、資料の精査を行う予定である。 この作業と並行して、複数の主体が関わる国際違法行為に対する国際責任についての理論的状況を整理するために、国連国際法委員会(ILC)が起草した国際責任に関する諸条文の検討に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の「研究実績の概要」で述べた通り、本年度予定していた、国際平和活動において国連と地域的機構(EU、AU、NATO、ECOWASなど)の協働がなされた事例についての関連資料の収集と予備的分析を行うことができた。ただし、国連と地域的機構の関係を規定する国連憲章第8章「地域的取極および機関との協力」の検討は十分にできなかった。この分野についての資料収集は概ねできており、次年度以降に取組む予定である。 他方で、次年度以降予定していた、ILCの国際責任に関する諸条文の検討を実施できた。 このように研究課題についてやや遅れた部分もあるが、おおむね計画通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に十分にできなかった国連憲章の検討を実施するとともに、研究計画に沿って、国連と地域的機構が協働した特徴的な事例、例えば、EUやNATOなどが国連と任務を分担したコソボおよびボスニアの事例、AUやECOWASが当初関与し、その後国連がその任務を継承したマリおよび中央アフリカ共和国の事例、国連とAUが統合ミッションを立ち上げたダルフールの事例を取り上げ、関連する安保理決議、地域的機構の諸文書を分析する。また、それらに関連する先行研究の検討も行う予定である。 なお、研究の成果については、研究会などで報告する機会を設け、公表できるようにする。
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