研究課題/領域番号 |
23K01116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
羽賀 由利子 成蹊大学, 法学部, 教授 (90709271)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 準拠法 / 情報 / 国際私法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、社会のデジタル化という現代的事象の中で、インターネットバンキングの預貯金・仮想通貨・写真や動画、Eメール・各種アカウント・SNS上での投稿等、ある人が仮想空間に蓄積する各種のデータ(「情報資産」)について、その人の死後にどのように扱うべきかを、国際私法の立場から検討するものである。
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研究実績の概要 |
デジタルの仮想空間における活動において、生身の人間であるユーザー自身の代理としてアバターがアクターとなる。このようなデジタル空間における人格の表象であるアバターに対する侵害は、現実の人間であるユーザー自身にも及ぶが、同時に、そのアバターとして築き上げる関係にも及び得る。特に仮想空間においては、生身の人間であるユーザー自身から離れ、異なるキャラクターを設定した活動が可能だからである。このように切り離された人格が活動するに際して、それに対する侵害が生身の人間に及ぶかが問題となる。 ユーザーとアバターとの間に生じる紐帯について検討するに際し、人類学や哲学といった別分野の知見からも示唆を得て、人格は他の人間との関係(社会)において判断されるべき存在であることを前提とした。そうであるならば、仮想空間において別人格を用いて活動している場合には、そこに生じる関係性に着目する余地があり得るとの仮説を立てることができる。 この仮説に基づけば、実際にアバターに対する侵害が生じ、法的解決が求められる場合に、いずれの国の法が適用されるか、という準拠法問題において、アバターが活動する「場」であり「社会」であるプラットフォームの規則の準拠法性が論点となり得る。このことは、準拠法選択において重要な要素である最密接関係性の観点からも説明できる。 Vtuberなどのキャラクター移譲の例のように、このように作り上げられた「人格」は財産性を帯びることもあり、デジタル空間における情報財の検討の一環であり、より詳細な検討の基盤ともなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論研究の中でも特に基盤的な部分を中心とした検討となっているものの、国際誌での公表や分野横断的な研究会における報告など成果公表の機会も得て、今後より発展的な課題に取り組むための基盤的な論点の検討が進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
情報財の法的位置づけについては知的財産権の従来の議論、特に人格に関しては著作権をめぐる理論が参考になるため、著作権に関する国際私法上の問題の検討については引き続き従事する。 情報の承継に関する論点の検討を進めるために、国際家族法分野の理論研究も同時並行的に進める予定である。
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