研究課題/領域番号 |
23K01119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 公益財団法人世界人権問題研究センター |
研究代表者 |
吾郷 眞一 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 研究部長 (50114202)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ビジネスと人権 / 国際労働基準 / デュ―ディリジェンス / 国連指導原則 / ILO / OECD / 国際人権保障 / ソフトロー / 国連機関の決議 / 人権デュ―ディリジェンス |
研究開始時の研究の概要 |
ビジネスと人権という概念は、2020年代の一つの流行言葉になっている。 本研究は、現在どのような法(ソフトローを含む)が生成しつつあるのか、そして、それがいかにして人々や企業の行為規範となっていくのか、ということを見極めようとするものである。 基本的には、手続が実体に影響を与える(フォローアップ活動の存在が、ソフトローに法的重みを与えるという仮説を証明する実証研究である。 企業は人権保護(雇用確保など労働基本権を含む)推進主体として積極的な役割も持っているので、本研究では、規制と促進という二つの視点に立ってビジネスと人権概念をとらえ、問題への適切なアプローチを模索する。
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研究実績の概要 |
初年度は、研究計画を効率的に実行に移すことを目的として、出版計画の策定から開始した。すなわち目標の課題を明確にし、道筋を立てるために有効と思われた出版社との協議から始め、単著、とくに研究課題の土台となる国際行政法理論を深く掘り下げることが出版社から提案され、研究の方向性に一定の示唆が与えられた。 6月のパリで開催された、国際法協会(International Law Association)150周年記念大会では、主催者から依頼があったこともあり、デュ―ディリジェンス分科会のパネリストとなり、とくに「ビジネスと人権」議論の中でのデュ―ディリジェンス概念に関する一つの考え方(信義則に例えて)を提言するとともに、各種の議論に参加し、この問題の対応については様々な視座があることを知った。日本では、適切な訳語がないということでデュ―ディリジェンスというカタカナ表記をしているが、フランスではvigilanceという翻訳語をそれに充てていることは示唆に富む。 世界人権問題センターのプロジェクトチーム5で、ビジネスと人権の研究をプロジェクトリーダーの任務として遂行している中で、本科研の課題に相乗効果をもたらすべく、京都に出張し、センター所長や専任研究員とプロジェクト内容を協議するとともに、方向性の一つとなる「ビジネスと人権の中の労働の位置」の側面を強化するため、東京に出張し、企業と労働問題に強い弁護士を世界人権問題研究センターのプロジェクトに招聘した。 産業界で、実際にビジネスと人権がどのように取り扱われているかを知るために、大手電機産業のビジネスと人権課題担当者をセンターに講師として招聘し、マレーシアにおける強制労働排除を目的とした企業としての取り組みについての知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね予定通り進行している。 概ねというのは、一部研究成果に不十分な結果が残ったことにある。コロナ禍の終焉とともに、対面での学会、研究会が増えたため、予算執行の内容は、旅費が大部分を占める結果となった。それは予想されていたので、海外渡航旅費を多めに申請してはいたが、助成支給額が申請額よりかなり少なくなり、かつ航空運賃が異常に高騰したため、海外出張は一回にとどめざるを得なかった。幸い、2度目の海外出張については、会議主催者が旅費、宿泊費を補助してくれたため、予定はこなすことができた。 なお、その事態は次年度も続くと思われ、海外出張を1回にするか、本来行くべきILA(国際法協会)年次大会(アテネ)をあきらめ、東南アジアで開かれる国際会議に振り替えることとなろう。 パソコンなど電子機器は、従前の科研費で購入したものを継続利用するつもりで、当初予算申請していなかったが、やはり10年近く使ったノートブックにしばしば不具合が生じ、その修復に時間をとられたことも、計画が完全に順調とは言えない理由の一つであった。 この点も次年度に何とか工夫すべき課題だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、国内外学会、研究会への出席と、適宜論文執筆、講演などを行い、フィードバックを得ながら課題の追及をする。 上で述べた制約(海外出張の回数制限・電子機器の修理)を視野に入れながら、効率的に研究を進める。 出版計画を進めるために、最終的な出版物となる書籍の部分を構成するような小論文を雑誌、記念論文集などに発表する。
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