研究課題/領域番号 |
23K01128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
和田 肇 名古屋大学, 法学研究科, 名誉教授 (30158703)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 労働政策立法 / ソフトロー / ハードロー / 人権DD / 同一労働同一賃金 / 非正規雇用 / 差別禁止 / エンf-スメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、労働政策立法を「ある政策目的を実現・実装化するための法技術・手法の体系」と捉え、(ア)どのような労働政策が求められているのか(あるいは求められたのか)、(イ)その目的を実現するためにどのような法政策が採られるのか(採られたのか)、(ウ)その政策立法は政策目的を実現しているのか(したのか)、(エ)もしそれが実現していないとしたら、その原因はどこにあるのか(あったのか)、(カ)政策目的を実現するためにいかなる立法を行うべきなのか、といった検討課題を設定し、個別立法に即して分析する。
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研究実績の概要 |
この数十年間に労働法分野では、ある具体的な労働政策を実装化するための立法が活発になっているが(労働政策立法の時代と呼ばれる)、これら立法を、立法過程のみならずその効果を含めて検証する研究は必ずしもなされてこなかった。そもそもその検証手法も開発されてこなかった。こうした中で既存の立法学と法政策学から示唆を受けて「労働政策立法学」という研究手法を提起し、いくつかの立法について具体的にその検証を行うのが本研究の目的である。本研究は、これまでの研究で不足している部分を補充し、労働政策立法学を体系化ならびに構築することを目的としている。初年度である2023年度は、主として3つの作業を行った。これまで約6年間に私が行ってきた研究成果(公表済みのもの)すべてについて、その後の法改正、判例・裁判例の積み重ね、調査研究資料、そして外国法(とりわけドイツ法)の変化を踏まえて加筆・修正を行った。この作業はすべて完了した。とりわけ雇用平等法について、ドイツ法やその他いくつかの国の先端的研究を取り込んだ。労働法規範の分析として、労働法で多用されているソフトローの内容と問題点を分析する。これまでもソフトロー・アプローチについて批判的に検討してきたが、最近のソフトローに関する立法や議論を踏まえて再検討した。本研究では、労働立法における法規範は基本的にハードローであるべきである論じている。また、労働契約法18条に関する特例について、その課題と新たな立法の可能性を模索した。比較法研究として、ドイツにおける立法過程(人権デュー・デリジェンス法など)、労働協約の締結(時短や賃上げ)について事例研究を行った。このいくつかは出版予定の著書には取り入れていないが、次年度以降の研究の基礎となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第一に、①と②の作業に一区切りついたので、本来は3年度か最終年度に公刊を予定していた研究書の公表する準備が終了したので、早めて公刊することにした。出版社(旬報社)に原稿を引き渡し、公刊は2024年夏頃の予定である。 第二に、①と②の作業中にドイツ法の比較法研究を行い、それを公刊する図書に取り入れることができた。 第三に、メインの作業と並行して、ドイツの労働協約交渉や新たな立法についての研究を進めることができた。これはコロナ禍の収束後にヨーロッパやアメリカでの新たな協約交渉が活発化し、これをフォローしないとドイツについても立法や労使関係による労働市場政策に関する研究ができないという事情による。たとえば平等賃金については、ヨーロッパでの賃金透明化法(Entgelttransparenzgesetz)という新たな試み、労働協約による「同一労働同一賃金」の実現の研究が不可欠となっている。
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今後の研究の推進方策 |
労働政策立法の基礎理論についての研究はほぼ終了したし、個別労働立法に即した検討もかなりのテーマについて検討が終了した。しかし、まだいくつかのテーマが残っており、今後この検討を行う。具体的には、①外国人労働者政策(1980年代の外国人労働者政策の議論、その後の研修制度と技能実習制度の創設と廃止、改正、これから始まる特定技能実習制度の歴史的変遷と課題、問題点の抽出、今後の展望等)、②フリーランスをはじめとした雇用に類似した就業者に関する労働法・社会保険法政策(労働法・社会保険法の労働者・就業者と自営業者のに分類の実態と問題、貧困対策・雇用・平等政策の中での位置づけなど)、③高齢者雇用と生活保障の法政策(定年延長と年金保険の受給年齢の引き上げ、ディーセントな雇用保障など)などが考えられる。これらをドイツ法の比較法研究を交えた分析を行う。 初年度に開始したドイツにおける立法政策論、労使関係と協約制度、ストライキについての研究を通じて集団的労使関係の変容と課題について明らかにする。たとえば労働時間の制度と時間短縮、同一労働同一賃金については、日本法と異なりドイツでは労働協約の分析が不可欠となる。これを通じて労働条件規制のダイナミズムを明らかにしたい。
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