従来、経済法は売手側の独占行為、共同行為を中心に規制してきた。しかし、輸送手段、情報通信技術の向上により大型小売業が発展し、量販店、スーパーマーケット等が大きな交渉力を獲得するに至っている。さらに、近年、事業者と消費者等の複数の市場の当事者間の取引の基盤を提供するプラットフォーム事業者が膨大なデータを集約することで大きな交渉力を獲得しており、買手事業者としてのプラットフォーム事業者の行為が独占禁止法上問題となり得る。そこで本研究は、大規模小売業をはじめとする購買力の一方的な行使に関して、第三者効果を論じる間接的競争侵害説を再検討することで、優越的地位の濫用規制の利用可能性を検討する。
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