研究課題/領域番号 |
23K01137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松尾 誠紀 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00399784)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 刑法 / 死体遺棄罪 |
研究開始時の研究の概要 |
死体遺棄罪に関する近時の新たな判例では、無罪あるいは不成立とする判断が目立つ。これは、本罪における死体の「遺棄」該当性判断に関する明確な判断基準が未だ確立されていないことを示す。そこで、本罪の保護法益の具体的内容の解明、および法益侵害との関連性を有する「遺棄」概念の確立を研究目的とする。研究目的の達成のために、本罪だけでなく、埋葬等に関する社会学およびドイツ刑法における死者の安息を妨害する罪をも手掛かりとして、本罪の保護法益内容の具体的把握に向けた考察に取り組む。また、死体の「移置」「隠匿」、不作為による「遺棄」など、個々の死体遺棄行為と法益侵害との関連性の明確化に向けた考察にも取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では、死体遺棄罪における死体の「遺棄」該当性について未だ明確な判断基準が確立されていないことへの問題意識に基づき、限界事例における判断でも十分に機能しうる判断基準の構築を最終目標とする。そのために、①同罪の保護法益の具体的内容を解明し、その上で、②具体的に把握された法益理解に基づいて、法益侵害との関連性を有する「遺棄」概念を確立することを目的とする。 2023年度は、研究目的①と関連して、死体遺棄罪の保護法益理解に関するわが国の判例資料の収集・調査・検討ならびに文献資料の収集・調査・検討を行った。特に2024年度になろうとする2023年3月24日に、最高裁は、死産したえい児の死体を段ボール箱に入れて自室にあった棚の上に置いて放置した行為に関し、死体遺棄罪の成立を認めた原判決を破棄して、無罪を言い渡すという注目すべき判断を示した。本判決の妥当性を考える上では、本判決の保護法益理解に関する検討、およびそれとの関係で、上記研究目的②に関する検討も不可欠である。そこで、本判決の判例評釈を行う原稿執筆依頼を受けたことから、研究目的①に関する基礎研究とともに、研究目的②に関する発展的研究も行った。本判決については、他の研究者等によってもいくつかの評釈が発表されているが、長年の死体遺棄罪研究の蓄積に基づく効果的な検討によって、斬新な分析視角に基づく充実した考察結果を獲得することができた。この研究成果は、いち早くオンライン論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、①死体遺棄罪の保護法益の具体的内容を解明し、その上で、②具体的に把握された法益理解に基づいて、法益侵害との関連性を有する「遺棄」概念を確立する、という二つの研究目的に関連した研究に取り組んだ。その結果、斬新かつ充実した研究成果を獲得し、それをオンライン論文として公表することができた。この成果は、今後、本研究課題に取り組む上での土台となる重要な知見といえる。本研究課題への取り組みとしては非常に順調なスタートを切ったと評価できる。また、現在の状況として、死体遺棄罪に関する研究報告依頼も受けており、本研究課題に関する一つの研究成果がさらに次の研究成果を生み出すという好循環も見られる。 以上のことから、研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、①死体遺棄罪の保護法益の具体的内容を解明するという研究目的に関連して、ドイツ刑法の死者の安息を妨害する罪の保護法益に関する判例資料・文献資料の収集・調査・検討を行う。その際には同時に、②具体的に把握された法益理解に基づいて、法益侵害との関連性を有する「遺棄」概念を確立するという研究目的とも関連するかたちで、ドイツ刑法の同罪にいう「死体等に対する冒涜的な乱暴行為」の該当性判断に関する判例資料・文献資料も収集し調査・検討を行う。 これらのドイツ刑法に関する基礎的理解は、現在依頼を受けている死体遺棄罪に関する研究報告に活用し、さらなる研究成果発表の糧としたい。
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