研究課題/領域番号 |
23K01140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
本庄 武 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (60345444)
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研究分担者 |
石田 侑矢 九州大学, 法学研究院, 助教 (60974566)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 仮釈放 / 地方更生保護委員会 / リエントリー / 再犯防止 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、第1に、現在推進されている満期釈放者対策の意義と限界を見定めるなかで、仮釈放制度の固有の意義を見定める作業を行う。これを通じて、日本の仮釈放制度の現状と制度が抱える問題点を明らかにする予定である。 第2に、再犯防止という政策課題にとっての仮釈放制度の積極的運用の重要性を確認するとともに、それが現在まで実現していない要因を探る。 第3に、仮釈放の実施主体が裁判所であるアメリカ合衆国の制度を参考にし、類似の制度を日本に導入することにより仮釈放制度を活性化する可能性を展望する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、第1に仮釈放の現状について文献を用いた調査を進めた。その結果、仮釈放率は上昇している一方で、刑の執行率も上昇傾向にあり、しかも短期の刑と長期の刑での執行率上昇が顕著であり、運用の変化には複数の要因が関連している可能性があることが明らかになった。引き続き、分析を進めていく必要がある。 第2に、米国のリエントリーコートについての分析を進めた。その結果、この制度は機能不全に陥ったパロールの衰退を補うために、ドラッグコートをモデルとして作られて拡大傾向にはあるものの、依然としてそこまで多くの法域で活用されているとは言い難く、その要因としては、今だ有効性についての評価が定まっていないことと、パロールとの連携がうまくいっていないことが考えられることが明らかになった。この点についても引き続き、調査を進めていく必要がある。 第3に、仮釈放の促進に寄与する出所者支援の実践についての調査を行った。その結果、持続可能な施設運営のためには出所者等のために用意された制度と一般福祉のための制度を組み合わせることや、多様なニーズをくみ上げるための柔軟な体制を用意することにより受け皿を多様化することが重要であることが明らかになった。また、いったん制度が作られると、制度外のアクターによる活動を軽視する傾向が生じてしまうという課題も存在することも明らかになった。実践の調査も引き続き進めていき、必要な解決策についての考察を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の文献調査、実態調査ともに順調に実施することができ、2024年度以降の課題も明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は、第1に仮釈放制度の動向についてさらに調査を継続する。改革の動向を取りまとめ、それに対する暫定的な評価を行う予定である。 第2に、米国におけるリエントリーコートの動向についての調査を継続する。とりわけ裁判官が関与することが仮釈放にいかなる効果をもたらしたのかについて調査を実施する。 第3に、仮釈放の動向を密接にかかわる出口支援の担い手の活動状況に関する訪問インタビュー調査を継続する。 第4に、仮釈放制度の運用と密接な関係のある満期釈放者対策の進展状況についての調査を実施する。 第5に、児童福祉領域での家庭裁判所関与の動向についての調査を開始する。具体的には制度設計の段階での議論を検討し、課題を抽出する。
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