研究課題/領域番号 |
23K01146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
島岡 まな 大阪大学, 大学院法学研究科, 教授 (20222036)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | カルト対策 / フランス刑法 / マインドコントロール / 刑事法 |
研究開始時の研究の概要 |
現在社会問題化しているいわゆるカルトによる人権侵害に早急に対応するために、20年以上前の2001年に包括的な反セクト法を立法し、その法律に基づきマインドコントロールによる詐欺罪(無知・脆弱性不当濫用罪)を刑法典に規定したフランスの法制度及び充実した被害対策を研究し、日本に必要な法整備を早急に提案する。 現地フランスに足を運び、実際の運用状況、被害対策等を調査する。コロナ過で普及したオンラインの手法も駆使し、出張できない場合にもできるだけ現地の生の最新情報を収集する。研究期間中、精力的に論文を発表し、日本における議論に具体的に資することを目ざす。
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研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、「現在の日本で社会問題化しているいわゆるカルトによる人権侵害に早急に対応するために、20年以上前の2001年に包括的な反セクト法を立法し、その法律に基づきマインドコントロールによる詐欺罪(無知・脆弱性不当濫用罪)を刑法典に規定したフランスの法制度及び充実した被害対策を研究し、日本に必要な法整備を早急に提案する」ことである。この目的達成のため、2023年度は、カルト問題の調査を日仏で行う予定であったが、担当者の急病により2月のフランス調査が延期となったため、国内の調査を中心に行った。 5月には、カルト問題の第一人者である紀藤正樹弁護士とのダブル講演を岡山弁護士会主催のシンポジウムで行い、フランスにおける反セクト法や対策を紹介した。シンポジウム終了後の意見交換会で、紀藤弁護士や他の弁護士と情報交換し、日本のカルト問題に関する知見を深めた。シンポジウムの様子は、現地のテレビや新聞でも報道された。 その後、文献調査を継続し、12月には、東京の紀藤正樹弁護士主催のリンク総合法律事務所を訪問し、紀藤弁護士、山口貴士弁護士など、カルト問題の日本における第一人者である実務家にインタビューし、成立したばかりの「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律」に関する意見交換を行った。その際、フランス在住のカルト問題ジャーナリストである広岡裕児氏を紹介いただき、3月にオンラインでインタビューを行った。 これらを整理し、2024年6月に予定しているフランスでの調査を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本での調査・研究は進んでいるが、2023年度(2024年2月)に予定していたフランスでのフィールド調査・研究は、申請者の体調不良により、急遽延期になった。そのため、予定していた海外旅費が使えず、フランスでの調査も行えなかったため、論文等の公表に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、日本とフランスにおけるカルトによる人権侵害への刑事法的対応の現状を整理し、課題を抽出し、法改正も含めた改善策の模索を継続する。日本では、旧統一教会に対する解散命令を控え、「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律」が成立したが、マインドコントロール等の直接的人権侵害に対処するための法律ではないので、そのような法整備の必要性を訴えてゆく。 これに反し、2001年にすでに反セクト法を立法しているフランスでは、2024年に最新改正が予定されており、被害者の保護強化や宗教以外の詐欺的医療等も視野に入れた規制強化が図られている。こちらを可能な限り早く日本に紹介する論文を仕上げたいと考えている。
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