研究課題/領域番号 |
23K01149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田淵 浩二 九州大学, 法学研究院, 教授 (20242753)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 最良証拠 / 伝聞法則 / 伝聞例外 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、刑事訴訟法が直面する諸課題に対応するために伝聞例外規定を見直すための論拠を増強するための研究を促進しようとするものである。伝聞例外をめぐる議論は長期にわたる蓄積があるところ、本研究は、伝聞例外の体系には、単に何を伝聞例外として認めるかという視点だけでなく、より良質な供述証拠の収集保全方法の利用を促進させる目的が反映されてしかるべきではないかという問題意識の下、伝聞例外体系の修正の要否と修正すべき場合の方向性を検討することにより、伝聞例外規定の解釈・立法により良質な供述証拠の収集保全を促進するための解決策を提案しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は3年計画の1年目が終了したところであり、具体的に次の二点を中心に研究を進めた。 第一に、伝聞例外規定の解釈に関する重要判例や判例の意義の理解をめぐる議論の中に、より良質な供述証拠の収集保全を促すという視点が含まれていたか否か、含まれていたとしたら、何をもってより良質と考えられていたかを明らかにするための資料を収集し、分析を行った。 第二に、イギリスおよびアメリカにおける伝聞例外体系により良質な供述証拠の収集保全を促すという視点が含まれているかを明らかにするための資料の収集と分析を行った。また、良質の供述証拠の収集保全の促進という課題は、伝聞法則を採用していない国においても共通しているはずであることから、伝聞法則を採用していないドイツにおいては、当該問題につきどのような議論が行われているかも、比較研究の対象として資料の収集と分析を行った。 1年目はこれら二点を中心に文献収集を行ったが、論文としてまとめて公表するには至らなかった。伝聞証拠の証拠能力の制限には、伝聞証拠自体が誤った判断を導くおそれがあることを理由とするものと、伝聞証拠の証拠能力を制限することにより、より良質の証拠の提出を促すことができことを理由とするものがあると理解することができ、いずれかによって伝聞証拠の例外的使用が正当化される場合は異なってくるというのが本テーマの仮説が、資料から確認できるか分析し、論文として取りまとめている途中である。 国内法の検討については、最良証拠主義は当事者主義の修正原理であるところ、前提として日本における当事者主義の理解を深める考察を行った。また、2023年の刑事訴訟法改正を踏まえつつ刑事訴訟法全般にわたる新たな情報収集に努め、教科書の改訂を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
並行して進めている科研共同研究が最終年度を迎え、そちらの研究に予定以上のエフォートを割くことになったため、本研究課題の研究のためのエフォート率が低下し、予定よりも研究の進捗が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
並行して進めていた科研共同研究が終了したことから、今年度は本研究課題に関するエフォート率を高め、引き続き伝聞法則の最良証拠主義的解釈の取りまとめを行った上で、続けて条件付関連性や証拠の基礎付けの概念の最良証拠主義的解釈に関する研究に着手する予定である。
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