研究課題/領域番号 |
23K01153
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
佐野 文彦 法政大学, 法学部, 准教授 (20779516)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 刑事責任能力 / 刑事責任論 / 責任能力 / 量刑論 |
研究開始時の研究の概要 |
責任能力判断は、「精神の障害により」一定の能力が減退等しているか判断するものとされているところ、学説の一般的理解は、「精神の障害」に刑法理論上独自の意義を見いだしていない。しかし、障害の性質等に応じて責任能力判断の傾向が大きく異なること(内的相違)は一般的に承認されている。また、情動等は心神耗弱に至らずとも量刑上減軽方向に作用し得ると考えられており、同要件は責任能力判断の外縁を画し得るとも思われる。本研究は、「精神の障害」が責任能力判断にとって如何なる意義を有するかという問いに対して、比較法的視座から、「精神の障害」の①内的相違と②外縁に着目した検討を行い、具体的な解釈論を提言するものである。
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研究実績の概要 |
刑事責任能力判断は、近時刑法学説及び刑事実務において議論が活性化しているテーマであり、且つ、特に重大事件において問題となるために、社会的にも関心を集めるテーマである。本研究は、責任能力判断が「精神の障害により」一定の能力の喪失等を問うものであるところ、「精神の障害」が、その性質等に応じて責任能力判断の傾向を大きく異ならしめるものであること(内的相違)や、量刑判断等との外縁を画し得るものであることに着目し、この要件の意義について、比較法的視座から検討を行おうとするものである。 2023年度においては、特に内的相違について、以下の成果を得た。 第一に、比較法的検討に当たり、英米圏の責任能力判断について調査を行い、知見を獲得した。まず、イングランド及びウェールズにおける近時の法改正に向けた議論において、実体法・手続法両面から従前の議論や法制度に対する批判的検討が行われていること、そして実体法上の基準として、責任能力判断には複数の視点があり得ることが、具体的な障害名を含めて検討されていることを明らかにした。次に、アメリカでは連邦・州等の諸法域において様々な基準が定立されているところ、その具体的内容について、各々の諸法域において如何なる議論が展開されているかを明らかとした。更に、アメリカでの現地調査を行い、複数の現地研究者等と日米の責任能力判断について意見交換を行うことで、両国の問題状況や議論の共通点及び相違点につき、知見を獲得することができた。そしてこれらの研究成果の一部について、論文の形で公表した。次年度以降、追加調査を行い、更にこれらの成果を公表する予定である。 第二に、日本の議論状況を具体的に明らかにするため、障害の性質等に応じた責任能力判断の相違に関する調査として、裁判例分析を開始し、その判断の傾向について知見を獲得した。次年度以降、更に調査を継続し、成果を公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献の収集・調査のみならず、アメリカでの現地調査や論文の公表等も行うことができたため、順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、裁判例分析を継続し、我が国の議論状況を更に具体的に明らかにし、その成果を公表する予定である。また、比較法的検討のための外国法調査も引き続き行う予定である。
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