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被疑者取調べの適正化に向けた諸方策についての実証的・比較法的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K01155
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05050:刑事法学関連
研究機関明治大学

研究代表者

石田 倫識  明治大学, 法学部, 専任教授 (20432833)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード弁護人立会権 / 黙秘権 / 取調べの録音録画 / 接見交通権 / 少年被疑者 / 成長発達権 / 被疑者取調べ / 有罪答弁制度 / 被疑者取調べの録音録画 / 弁護人依頼権 / 被疑者国選弁護制度
研究開始時の研究の概要

近年、諸外国においては、法体系・法制度の違いにかかわらず、被疑者取調べの適正化を図るため、初回の取調べに先立って弁護人と接見する権利や取調べに弁護人を立ち会わせる権利が保障されつつある。本研究においては、以上のような国際的動向を踏まえたうえで、主としてイギリスを中心とする欧州諸国の法制度(ないし国際人権規準)を参照しつつ、被疑者取調べの適正化・極小化を図るための諸方策について検討する。なお、捜査弁護のあり方が被疑者取調べに与える影響を検証するため、国内外における弁護実務家等からのヒアリング調査を実施する。

研究実績の概要

本研究は、被疑者取調べの適正化(及び極小化)を図るための諸方策(取調べの録音録画制度の拡充や弁護人による援助を受ける権利の実質化)について、イギリス法を中心とした諸外国の法制度等を参照しつつ、検討を行うことを目的としている。

本年度の主たる研究実績としては、次の3点を挙げることができる。第一に、文献調査に基づき、イギリスにおける被疑者取調べに関する法規制の全体像を把握するとともに、近年における弁護人立会いの実施状況や接見交通の実際について、イギリスの法律実務家からの予備的な聴取調査を実施した。ここで得られた研究成果の一部について、2023年7月8日に開催された大阪弁護士会主催のシンポジウム(ノーモアえん罪!! かしかとたちあいの未来)、及び、2024年2月21日に実施された日弁連・取調べ立会い実現委員会において報告する機会を得た。
第二に、近年、わが国においても研究が深化しつつある被疑者取調べにおける弁護人立会制度について、その導入を妨げている諸要因についての分析を行った。また、2024年3月14日、イギリス・サセックス大学においてセミナーを開催し、当該分析結果について報告した上で、同大学の刑事法研究者らからの意見聴取を実施した。
第三に、これまでに必ずしも十分な検討がなされてこなかった少年被疑者の捜査弁護の在り方(特に少年被疑者の取調べと原則黙秘の防御方針の妥当性)について、10名程度の弁護士からの聴取調査の結果に基づきながら、少年の成長発達権保障の見地からの理論的考察を行った(石田倫識「少年被疑者の捜査と弁護人の役割:少年被疑者の取調べを中心に」服部朗編集代表『融合分野としての少年法』〔成文堂〕112頁以下所収)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画に従い、本年度は、イギリス法における被疑者取調べの録音・録画制度や弁護人の援助を受ける権利(接見交通権や弁護人立会権等)のあり方等について、有罪答弁制度等その他の関連諸制度との関係性にも留意しつつ、その全体像を正確に把握することを主たる研究課題とした。
この点、上述のとおり、文献調査と予備的な聴取調査によって、その全体像をある程度把握することはできたが、(十分なイギリス滞在期間を確保し得なかったことから)実際の運用状況等について十分な聴取調査を実施することができなかった。また、有罪答弁制度等その他の関連諸制度についても、主たる先行研究の調査は終えているものの、未だ文献調査の段階にとどまっており、本年度は聴取調査に着手できなかった。
もっとも他方で、現時点までに得られた研究成果については、(1)国内のシンポジウム等で発表する機会を得ていること、また、未だ十分とはいえないものの、(2)海外の研究者からの意見聴取の機会も得ており、次年度以降における継続的な意見交換の機会についてもおおむねの調整を終えていること、その他、(3)前研究課題「弁護人立会制度についての実証的・比較法的研究」(19K01354)からの継続検討課題となっていた「少年被疑者の捜査と弁護人の役割」については、一定の研究成果を公刊し得たこと等に照らして、本年度は「おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

次年度においては、主として以下の2点に焦点を当てて研究を実施する予定である。
第一に、本年度の積み残し作業として、イギリス法における有罪答弁制度等その他の関連諸制度についての文献調査を継続的に実施した上で、最終年度に実施予定の本格的な実態調査に向けて、イギリスの法律実務家及び法学研究者等からの予備的な聴取調査を実施する。
第二に、平成28年刑訴法改正の施行後三年を経過したことから、同法の附則9条に基づき、現在、法務省内に「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」が設置され、改正法の施行状況に関する検証作業が行われていることに鑑み、被疑者取調べの録音録画制度(刑訴法301条の2)に関する諸問題について重点的に取り組むこととする。ここでは、平成28年改正刑訴法によって被疑者取調べの録音録画制度が導入された経緯とその立法趣旨について、法制審議会特別部会の議事録等の一次資料を踏まえつつ、あるべき刑訴法301条の2の解釈論の展開を試みる。また、研究協力者(弁護実務家)からの聴取調査の成果も加味しつつ、現行制度が有する問題点(ないし限界)をあぶり出し、イギリス法から得られる示唆も踏まえた上で、具体的な制度改革の提案を試みる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 接見交通(2)――接見指定の内容2024

    • 著者名/発表者名
      石田倫識
    • 雑誌名

      大澤裕=川出敏裕(編)『刑事訴訟法判例百選〔第11版〕』(有斐閣)

      巻: - ページ: 80-81

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 証拠開示2024

    • 著者名/発表者名
      石田倫識
    • 雑誌名

      村山浩昭=葛野尋之(編)『再審制度ってなんだ?』(岩波書店)

      巻: - ページ: 62-71

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] (書評)立命館大学法学叢書 第24号 松宮孝明『刑事再審制度の意味とその改革』2024

    • 著者名/発表者名
      石田倫識
    • 雑誌名

      立命館法学

      巻: 410 ページ: 332-338

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 少年被疑者の捜査と弁護人の役割:少年被疑者の取調べを中心に2023

    • 著者名/発表者名
      石田倫識
    • 雑誌名

      服部朗(編集代表)『融合分野としての少年法』(成文堂)

      巻: - ページ: 112-132

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 2023年学界回顧/刑事訴訟法2023

    • 著者名/発表者名
      石田倫識
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95(13) ページ: 185-196

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 違法な令状発付と排除法則の適用2023

    • 著者名/発表者名
      石田倫識
    • 学会等名
      日本刑法学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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