本研究では、行政訴訟における情報や証拠の収集手段である釈明処分の特則をおもな対象としている。この釈明処分の特則は、行政訴訟分野において、事案解明義務が具体化した規定と解されている。 そこで、本研究では、①この文脈で用いられている事案解明義務が、民事訴訟法において証明責任を負わない当事者が証拠収集に協力すべき義務として論じられる事案解明義務と同一あるいは同質であるかを明らかにする。また、②同一であるとして、行政訴訟と民事訴訟の相違点を考慮してもなお、民事訴訟における証明責任を負わない当事者の義務を事案解明義務によるとすることが可能か、という問題について、分野横断的視点から明らかにする。
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