研究課題/領域番号 |
23K01213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
村中 孝史 同志社大学, 司法研究科, 客員教授 (80210053)
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研究分担者 |
竹中 昂平 京都大学, 農学研究科, 特定研究員 (40971320)
カライスコス アントニオス 龍谷大学, 法学部, 教授 (60453982)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | リスキリング / 再訓練 / 労働法 / 消費者法 / 職業訓練 / オーストリア / 職業資格 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、雇用の流動化が進展するわが国において、労働者のリスキリングの重要性が高まっていることから、それを促進するための法政策を主として労働法及び消費者法の観点から、また、経済的効果をも踏まえて検討しようとするものである。わが国の場合、職業訓練は主として各企業により担われる傾向があったが、技術革新のスピードはもはやそれを許さず、外部機関による再訓練の必要性が高まっている。EU諸国では、従前より外部機関による再訓練が中心であったことから、その取組み経験を参考にしつつ、わが国におけるリスキリングの将来像について検討し、法政策的な提言を模索するものである。
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研究実績の概要 |
本研究の対象であるリスキリングをめぐる問題状況について、あらためて研究者間で問題点の洗い出しを行うとともに、オーストリアにおける現地調査の準備を行った。オーストリアにおける現地調査では、ウィーン大学法学部のマーツァール教授から助言を受けつつ、オーストリアにおける職業訓練や職業資格に関する専門家であるトーマス・マイヤー氏に対するインタビューを行ったほか、マーツァール教授本人と意見交換を行った。 ドイツと同様、オーストリアにおいては、学校教育と職業訓練との強い関連性を確認することができるが、このような仕組みは、技術の進展や産業構造の変化に対して柔軟性を欠く傾向にある。とりわけオーストリアでは、ドイツ以上に、労使団体が強く職業資格に関与しており、変化への対応が難しい状況となっていることが確認できた。もっとも、そのデメリットはそれほど意識されていないようであり、むしろ労働者の転職を円滑にし、また、失業時における地位を安定化させるというメリットが高く評価されていた。 これらの現地調査から得られた知見について研究者間で意見交換を行うとともに、これを踏まえてあらためて日本の現状について検討を行うこととした。その準備作業として、リスキリングをめぐる現在までの労働政策についての文献調査に着手した。また、リスキリングをめぐっては、職業教育をサービスとして提供する業者によって、とりわけ失業状態にある労働者が損害を被る可能性が高いと考えられるため、その契約関係の在り方について、文献調査に着手した。さらに、リスキリングの問題は、我が国おける労働市場の在り方の変化を示唆するものであるため、労働経済学的観点から市場の在り方についての文献調査にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から予定していたとおり、オーストリアにおける現地調査を実施することができた。また、我が国におけるリスキリングをめぐる政策の動きに関する文献調査にも着手することができ、文献の収集作業の大半を終えた。消費者法に関しては、リスキリングを直接の対象とした先行研究は限られることから、消費者法全般に関する研究を進め、一部はすでに公表している。また、経済学分野についても、職業訓練に関する先行研究の文献に着手しており、問題分析にあたっての視角について検討を行った。その検討結果の成果の一部については、学会において発表した。さらに、これらの研究成果に関しては、研究者間で共有をはかっている。
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今後の研究の推進方策 |
すでに着手している日本におけるリスキリングをめぐる政策の動きに関する文献調査を継続して行い完成させるとともに、消費者法の分野における問題点の検討を行う。また、経済学的な分析についても、引き続き検討を行う。とりわけ労働法学の分野に関しては、キャリア権に関する研究が進められてきたところであるため、それに関する検討を中心として、文献研究を行う予定である。 消費者法に関しては、引き続き消費者法全般の研究を進める中で、職業訓練をめぐる問題について検討を深める。経済学的検討に関しては、すでに検討した分析の観点を学会における議論を踏まえてさらに検討を深める。 また、昨年度実施したオーストリアにおける調査に関しいくつか生じている疑問点に関し、9月にウィーン大学の研究者が来日する予定であることから、インタビューを実施する予定である。
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