研究課題
基盤研究(C)
共和国という言葉には、今日の公共性の概念の中核を形成した共和主義思想を生んだ政体という観念が伴う。本研究は古典古代の都市国家の理念を起点とする共和主義思想史の一大転換点を17世紀中葉の革命期イングランドの国制論争に見出し、そこで提示された共和国の理念の変容過程を分析する。その際の鍵となる概念が「古来の国制」である。封建王制の様式をとり、多様な政治理念を包摂する柔軟性を備えたこの「国制」は外来思想であった共和国の理念をも受容し、新しい公共性を体現する近代の共同体の理念へと変容するのに寄与したというのが本研究の仮説である。本研究は日本における共和主義の受容の問題を考える際にも重要な示唆を与えよう。