日本では、海外出身者に対するヘイトスピーチが2008年ごろから公然と始まった。「表現の自由」を守りながらヘイトスピーチにいかに対処するか、特にヘイトスピーチの刑事的規制は論争的である。それにもかかわらず神奈川県川崎市は、2019年12月に「ヘイトスピーチ禁止条例」を策定し、刑事的規制を始めた。それはなぜだろうか。 本研究は、この問いの答えを、3つの主要アクターであるA.市民運動団体、B.市議会議員、C.ヘイトスピーチの被害を受けた地区の日本人住民を対象とする聞き取り調査を通じて探究する。そうして反ヘイトスピーチの取り組みを地方自治という観点から捉え直す。
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