研究課題/領域番号 |
23K01254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
魚住 弘久 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (60305894)
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研究分担者 |
東原 正明 福岡大学, 法学部, 教授 (00433417)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 交通インフラ / 災害復旧 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、日本各地で自然災害が多発するなか、交通インフラの維持が全国的な課題になりつつある。本研究では、災害多発リスクをかかえる日本の交通インフラの維持にどのようなオルタナティブの可能性があるのかを政治学的に検討していく。第一に1987年の国鉄分割・民営化にさかのぼり、今日に連なる交通インフラと政治・行政の関係が国有鉄道がなくなることによってどのように変化し、それが現在にどのような影響を及ぼしているのかを考察する(歴史的観点)。第二に2021年7月にドイツなどで発生した大水害への各国政府の対応を通して、ヨーロッパにおいて交通インフラと政治・行政がどのような関係にあるのかを検討する(比較の観点)。
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研究実績の概要 |
本研究は、災害多発リスクをかかえる日本の交通インフラ、とりわけ鉄道インフラの維持にどのようなオルタナティブの可能性があるのかについて、政治学・行政学の視点から検討し、交通インフラの持続に関する学術的基盤を提供することを目指している。第1年目にあたる2023年度は、資料収集、聴き取り調査など、次年度以降の研究に向けた基礎的作業を行った。 本研究は歴史的視点と比較の視点から進めているが、まず歴史的視点からの研究では、日本国有鉄道時代の災害対応についての基礎調査を福岡県・鹿児島県・北海道の各図書館・文書館で進めた。また、北海道では、2024年3月に一部廃線となった根室本線の沿線自治体である南富良野町において町長から聴き取り調査を行った。次に比較の視点からの研究では、文献調査を進めるとともに、運輸総合研究所主催の運輸政策コロキウムに参加するなどして海外情報の収集に努めた。以上の調査結果は、研究会を開催するなどして、メンバー間で情報共有を行った。 研究実績としては、本研究で対象とする時期の政治状況を確認したものとして「1983 年知事選挙 ―福岡と北海道に関する新聞記事を通じた比較―」(『奥田八二日記研究会会報』第11号、九州大学大学文書館、2023年)、震災と行政について文書に着目して研究したものとして「震災と行政の危機-文書による行政の視点から」(大東文化大学国際比較政治研究所『国際比較政治研究』2024年)を発表したほか、「オーストリアの現代政治―ヨーロッパの小国の経験から見えるもの」(比較文明学会九州支部研究会)「災害と行政研究」(先端行政学研究会)と題する報告を行うなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、次年度以降の調査に向けた事前準備を進めることを目標とした。歴史的視点からの研究では、次年度のオーラル・ヒストリーに向けた準備を進めることができたが、当初の予定どおりに実施できない部分があることがわかったため、計画の練り直しを行った。比較の視点からの研究では、鉄道復旧についての日本とドイツ(オーストリア)の制度を比較した論文を書き、今後予定している現地調査の準備を進める予定であったが、メンバー全員が管理職となり、校務多忙となってしまったこともあり、研究会で議論するなど準備は進めているものの、論文完成にはいたっていない。これは、次年度の完成を目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
第2年目にあたる2024年度は、まず、北海道における国鉄改革のインパクトについてのオーラル・ヒストリーを行うことで、国鉄改革のロジックや現在から見れば見落とされていた論点・諸事実を発掘していく。また、執筆の遅れている災害からの鉄道復旧についての比較制度研究の論文を完成させることで、ドイツ(オーストリア)での現地調査にあたっての視点を明確化させていくことにしたい。
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