研究課題/領域番号 |
23K01275
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
土佐 弘之 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70180148)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | プラネタリー・ヘルス / 人新世 / ポスト・ヒューマニズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で主として明らかにしようとしていることは、「気候変動やプラネタリー・ヘルスの危機が進行している過程においてエコロジー意識がどのように変化しているのか、また環境危機を克服する際の思想・政治的問題や障害として如何なるものがあるのか。」ということである。パンデミックに代表されるプラネタリー・ヘルスの問題を中心に考察を進めていくが、その際ヘルス・イシューの安全保障化(監視社会化)、アルゴリズム的統治の問題についても検討する。さらにはプラネタリー・ヘルスといった概念に象徴されるヒューマンとノン・ヒューマンの関係の新しいあり方について道徳的配慮の境界の拡張の可能性と限界性についても検討を加えていく。
|
研究実績の概要 |
初年度は、プラネタリー・ヘルスの政治に関する文献的研究を中心に進め、その途中成果として、下記の通り、『国際政治』に寄稿した論文1本を公刊、そして人間の安全保障学会での基調講演用に用意した英語論文1本を、のちにワーキング・ペーパーとして公開した。 そこで論じたことは、次の通り。まずCOVID-19パンデミックなどに代表されるバイオセキュリティ問題の根幹にはヒトによる過剰な開発による地球システム(ガイア)の危機がある。そして、そうしたプラネタリー・ヘルスの危機の根源には社会/自然二元論に立脚した自然に対する過剰な採取主義があることを指摘した。その上で、そうした予期せぬ帰結を受ける形で引き起こされたバイオセキュリティの政治(ヘルスの安全保障化)は帝国主義時代の国際公衆安全レジームを引き継ぐ形で展開してきたグローバル・ヘルス安全保障レジームを再編しながら境界の増殖、社会の分断・敵対やプライバシーや自由権の侵害、さらにはアルゴリズム統治性の強化・拡充を引き起こしている。端的に言えば人間社会による自然の過剰な開発を通じて引き起こされた新たな「開発原病」パンデミックが監視社会化や境界の増殖を引き起こすといったように、開発の「負のフィードバック」が複雑に絡み合いながら展開している構図が見て取れる。
・"Reformulating Human Security in a More-than-human World: Reflections on the (Post-)Human Condition in the Anthropocene," GSICS Working Paper. No.41, 2023年12月. ・「プラネタリーヘルスの危機と新たな開発原病 ―<健康/病気>の政治に関する一考察」『国際政治』211号、2023年、107-122頁。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に書いたように、すでに途中成果として、論文2本を公刊ないし公開しているように、概ね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の成果を踏まえ、プラネタリー・ヘルスの政治に関する理論的考察をさらに進めて、その途中成果を新たな論文として公刊、公表していくように努めていく所存である。
|