研究課題/領域番号 |
23K01281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 新潟国際情報大学 |
研究代表者 |
臼井 陽一郎 新潟国際情報大学, 国際学部, 教授 (90267451)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | EU / 欧州懐疑主義 / 欧州議会 / 欧州政党 / 対外政策 / 開発 / 通商 |
研究開始時の研究の概要 |
欧州懐疑主義政党の影響について、欧州議会およびEU理事会それぞれのルートを探ることを目的に、現地での聞き取り調査および関連先行研究のレビューそして欧州議会内およびEU理事会内の審議過程を跡づける文書資料の整理を進める。研究成果は国際政治学会、日本EU学会、UACES(英国EU学会)などで報告する予定。
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研究実績の概要 |
本科研プロジェクトの研究テーマに関連した、学会研究大会部会の企画、司会、討論を実施するとともに、ブリュッセルでの聞き取り調査や、日本を訪問した(本プロジェクトに関連した知見、実績を持ち合わせた)研究者(元ジャーナリスト)への聞き取りを行った。また論文1本(公刊は4月以降の予定)、新聞掲載の論説1本、共著単行本の1章、書評1本を執筆した。学会関連では、グローバルガバナンス学会研究大会(慶應義塾大学)にてEU部会の司会と討論を担当、日本比較政治学会研究大会(山梨大学)では統合の進展/後退に関わる部会で司会と討論を担当、日本国際政治学会研究大会(福岡大会)ではEU対外行動に関する分科会を企画し、司会と討論を務めた。以上の学会活動を通じて、(欧州懐疑主義政治グループを推進する)統合の後退を主題とする各種論点について議論を進める機会を得ることができた。ブリュッセルでは、EU政治メディアの元編集長、現地支局のメディア関係者、欧州委員会職員、EU地域評議会議員経験者(現在ベルギー内自治体の市長)から聞き取りを実施することができた。論文は「欧州議会と欧州懐疑主義: 欧州保守改革グループ(ECR)の場合」と題するもので『新潟国際情報大学国際学部紀要』に投稿した(4月以降刊行予定)。新聞掲載の論説は「戦争の時代、EUについて語る:ブレグジットの危機は本当の危機ではなかった」という題名で『図書新聞』2024年1月1日号に掲載された。共著単行本の1章は「多様化する欧州懐疑主義,岐路に立つEU─リベラリズムが揺らぐとき─」という主題で『現代ヨーロッパの国際政治』(法律文化社)所収である。書評はハンガリー首相オルバンとEUとの関係を主題とした学術書についてのもので、すでに原稿は提出済みであるが、刊行は6月以降になる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この初年度は、欧州議会内政治グループについての基礎的調査と、欧州懐疑主義の先行研究調査・リスト作り・批判的レビューに、力を注いだ。前者については、2024年6月の欧州議会選挙の事前動向調査(懐疑主義グループの動向)とともに、とくに欧州保守改革グループ(ECR:European Conservatives and Reformists Group)に焦点を当てた。調査の内容としては、ブリュッセルにおける聞き取り(ジャーナリストや行政関係者)とともに、(ECRおよびIdentitity&Democracyグループの)公式文書分析を進めた。調査のポイントは、ブリュッセル批判の内容と、EUの開発援助および自由貿易協定に関する言及に絞って進めていった。後者の文献調査については、欧州懐疑主義全般の研究動向と、欧州議会内の欧州懐疑主義政治グループに関する研究動向の、ふたつの次元で文献調査を進め、この研究分野の厳選した文献リスト作りをほぼ終わらせた。欧州懐疑主義研究の隆盛とは対照的に、欧州議会内の欧州懐疑主義政治グループについての研究が相対的に遅れていることが明確になった。また日本での研究も、先行的なものはあるにしても、欧州議会内政治グループに照準を合わせた懐疑主義研究に関しては、かなり手薄な状態であることが分かった。以上の調査研究については、学術論文1本、新聞掲載の論説1本、共著単行本掲載の1章に、それぞれまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる今年度は、学会等研究会合での報告、関連研究プロジェクトの推進、ブリュッセルでの聞き取り、論文執筆を下記のように進めて行く。(1)世界政治研究会にて4月に関連研究テーマに関する討論を実施、また同研究会にて5月に欧州議会内の欧州懐疑主義政治グループに関する研究報告を行う予定である。(2)この4月に欧州統合理論研究会を発足させた。この研究会では欧州懐疑主義と統合理論の関係を担当することとなる。とくに、本科研プロジェクトに関連して、欧州懐疑主義政治グループの(批判の的となる)連邦主義概念について、統合理論・マルチレベルガバナンス論との関係から考察を進めるという作業を進めていく。本科研プロジェクトが1名単独のものであるため、関連研究テーマの研究会合を発足させることで、研究交流・研究対話の環境を作っていくことが重要になる。その見通しがすでに付いている。これを利用していく。(3)6月6日から9日に実施される欧州議会選挙にあわせて聞き取り調査をブリュッセルにて実施する。(4)執筆論文は、2本を予定している。ひとつは、欧州議会内欧州懐疑主義政治グループのなかでも最右翼に位置する<アイデンティティとデモクラシー>グループに関する研究動向を追うとともに、その行動パターンや思想をレビューする論文であり、もう一つは、本年6月の欧州議会選挙の結果を分析した論考となる予定である。なお、以上に加えて、本研究プロジェクトの主たる調査対象政策分野となるEU開発援助と自由貿易協定に対する欧州懐疑主義政治グループの影響について、基礎的文献調査および聞き取り調査を進めていく。
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