研究課題/領域番号 |
23K01286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 長史 東京大学, 教養学部, 特任講師 (80793710)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 国際政治 / 紛争研究 / 平和構築論 / 軍事介入 / 出口戦略 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「平和活動や国際刑事法廷は、いつ終了が可能となるのか」という問いへの回答を通じて、対外政策終了論の体系化を目指すものである。まず、これまでの平和活動に関する研究を通して明らかになった《介入正当化と撤退正当化のディレンマ》や《責任転嫁可能な状況》という概念について、理論仮説に修正を施したうえで、ソマリア、ボスニア、アフガニスタン、イラク等を事例とした分析によって精緻化を図る。次に、平和活動終了についての分析を踏まえて、刑事法廷の終了について分析する。具体的には、上記の二つの概念が旧ユーゴ国際刑事法廷(ICTY)やルワンダ国際刑事法廷(ICTR)の終了決定過程を説明できるかを検証する。
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研究実績の概要 |
ある政策を終了することは開始するよりも難しいというのは政策決定者が繰り返し述べてきたことである。では、それはなぜか。学術的には必ずしも体系的に分析されてこなかったものの、重要な問いである。そこで、本研究では、「平和活動や国際刑事法廷は、いつ終了が可能となるのか」という問いへの回答を通じて、対外政策終了論を体系化していくことを目指す。 具体的には、以下の3つの段階を踏んで研究を実施する。第一に、これまでの平和活動に関する研究を通して明らかになった《介入正当化と撤退正当化のディレンマ》や《責任転嫁可能な状況》という概念について、理論仮説に修正を施したうえで、ソマリア、ボスニア、アフガニスタン、イラクにおける平和活動を事例とした過程追跡によって精緻化・一般化を図る。第二に、平和活動終了についての分析を踏まえて、刑事法廷の終了について新たに分析する。具体的には、上記の二つの概念が旧ユーゴ国際刑事法廷(ICTY)やルワンダ国際刑事法廷(ICTR)の終了決定過程を説明できるのかを検証する。第三に、平和活動と刑事法廷という類型の異なる政策について対比しながら論じることで、政策終了の体系的な分析を目指す。 3年計画のうちの初年度となる2023年度は、第一段階に取組んだ。具体的には、「平和活動からの撤退決定が可能となるのは、介入国が①活動目的達成に向けて努力してきたことを示せる、②自身では制御し難い事情によって目的達成が困難になっていることを示せる(責任を転嫁できる)、という二条件を兼ね備えるときである」という仮説を立てて、事例分析により検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度となる2023年度の計画は、これまでの平和活動に関する研究を通して明らかになった《介入正当化と撤退正当化のディレンマ》や《責任転嫁可能な状況》という概念について、理論仮説に修正を施したうえで、ソマリア、ボスニア、アフガニスタン、イラクにおける平和活動を事例とした過程追跡によって精緻化・一般化を図ることであった。これに関し、「平和活動からの撤退決定が可能となるのは、介入国が①活動目的達成に向けて努力してきたことを示せる、②自身では制御し難い事情によって目的達成が困難になっていることを示せる(責任を転嫁できる)、という二条件を兼ね備えるときである」という仮説を立てて、事例分析により検証した。 その結果、査読付き論文の刊行等の一定の成果を得られた。ただし、アフガニスタンに関する事例分析については、さらなる検証が必要な部分が残っており、2年目の2024年度においても分析を続ける必要がある。とはいえ、全体的にみれば、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究がおおむね順調に進展したことから、当初の予定通り、研究計画の第2段階に移る。すなわち、平和活動終了についての分析を踏まえて、刑事法廷の終了について新たに分析する。具体的には、《介入正当化と撤退正当化のディレンマ》や《責任転嫁可能な状況》という二つの概念が旧ユーゴ国際刑事法廷(ICTY)やルワンダ国際刑事法廷(ICTR)の終了決定過程を説明できるのかを検証する。刑事法廷終了についてではないものの、ICTYについては事例分析で扱った経験があるため、先に分析することとする。一方、そうした「土地勘」のないICTRについては、より多くの時間を割いて分析する方針である。
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