研究課題/領域番号 |
23K01288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小松 志朗 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40507109)
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研究分担者 |
浅井 雄介 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際感染症センター, 研究員 (70779991)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 感染症 / 国境管理 / 新型コロナウイルス / 世界保健機関(WHO) / 国際保健規則(IHR) / 学際的研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国際関係論が専門の研究代表者と疫学が専門の分担者による学際的な共同研究である。研究の核心をなす問いは、「アフター・コロナの感染症対策として合理的な国境管理はどのようなものか」である。この問いを念頭に、国境管理の新しいモデルを示すべく新型コロナウイルスの事例を中心に研究を行う。代表者と分担者はこれまで取り組んできた共同研究において、2010年代までの経験と知見をベースに国境管理の一つのモデルを構築したが、新型コロナの事例を踏まえてそれを根本的に見直す必要があると考えた。研究期間は3年とし、代表者と分担者それぞれの専門分野と研究手法に合わせて役割分担を決め、作業を効率的に進める。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、新型コロナウイルスのパンデミックの事例をもとに、感染症対策として合理的な国境管理のモデルを示すことである。研究1年目の今年度は、先行研究などを参考に政治的な論点を整理することと、国境管理の必要性を疫学の視点から根本的に問い直すことに重点を置いた。 まず、政治的な論点としては2点を抽出した。第一に、いま国際社会ではアフター・コロナの制度改革の議論が進んでいるが、国境管理の効果に関する科学的知見が否定的なものから肯定的なものに変わり始めている現実を踏まえれば、従来のように過剰な管理を規制するルールの「強制」にこだわることは得策ではなく、どうすれば各国が遵守しやすいルールを作れるのかという観点が重要である。第二に、新型コロナの事例において世界的に国境管理が厳しくなったのは、武漢ロックダウンに象徴される中国の強硬策に他の国々が引きずられた結果ではないかと考えられる。つまりここには「政策の模倣」の問題がある。 次に、国境管理の必要性を疫学の視点から改めて見直すために、以下のようなシミュレーションを行った。各国政府が国外から自国にウイルスが入ってくるのを防ぐために講じる検疫の強化や国境の封鎖といった対策は、ウイルスの到着を遅らせる効果が期待できる一方、経済の停滞など様々な弊害を伴う。この問題を意識して、本研究では流行国で行う対策に焦点を当て、現地での社会的距離の拡大や接触追跡といった非医学的介入が他国におけるウイルスの到着時期に与える影響を推定した。その結果、流行国においてPCR検査や隔離措置の対象を少し広げるだけで、到着時期を1ヶ月ほど遅らせられることが分かった。国境管理という対策の必要性や合理性を判断するためには、流行国における封じ込めの可能性も合わせて検討すべきなのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者・分担者ともに、所属機関の業務や他の研究活動に多くの時間を取られたため、本研究の進捗が予定より少し遅れた。とりわけ、2人で行う予定だった出張(インタビュー調査)がスケジュール調整の難しさゆえに実施できなかったことが、進捗に大きく影響した。また代表者についていえば、今年度は例外的に所属機関以外での授業と複数の学会運営業務が大幅に増えたことも、進捗が遅れた理由としてある。
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今後の研究の推進方策 |
・研究の打ち合わせを、対面とリモートを適宜使い分けながら頻繁に行うことで、現時点での課題や今後の方向性について十分に共通認識を固める。 ・学会報告やシンポジウム・ワークショップなど、研究成果をまとめて学界や社会に発信し、フィードバックを得る機会を積極的に設ける。 ・早めに代表者と分担者のスケジュールを調整して、国内・国外の出張の計画を検討する。
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