研究課題/領域番号 |
23K01317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
森田 裕史 東京工業大学, 工学院, 准教授 (70732759)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 財政政策 / 情報効果 / 時系列分析 / マクロ経済 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、主に景気対策として実施される財政政策のアナウンスメントに含まれる情報効果の波及メカニズムを分析する。財政政策の規模や内容に関するニュースが明らかになった時点の資産価格の動きに注目して情報効果の有無やマクロ経済への波及効果を実証的に明らかにするとともに、財政アナウンスメントの情報効果を取り扱うための動学マクロ経済モデルの開発を行う。また、データと計量モデルに基づいて、今後の研究でも利用できるような財政情報ショックのデータ系列を構築する試みにも取り組んでいく。
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研究実績の概要 |
2023年度は、査読付き国際英文雑誌に1本の論文を掲載し、国際学会で3回の研究報告という成果を上げた。また、国内大学のセミナーでも2回の報告を行った。 財政政策のアナウンスに含まれる情報効果に関する研究を遂行して、得られた結果については米国や欧州で開かれた著名な国際学会で研究報告を行った。具体的に行った研究は以下のように分けられる。まず、新聞の情報に基づいて財政政策アナウンスメントが発表された日時を特定化する。その上で、財政アナウンスメントに対して資産価格がどのように変化したかを実証分析によって明らかにした。ここで、鍵となるのが経済の不確実性である。簡単な2期間モデルを用いて財政情報効果の影響が不確実性によって変化することを示し、それをデータで検証することで情報効果が存在する可能性を明らかにした。さらに、資産価格に対する効果に加えて、時系列モデルを用いてGDPや消費といったマクロ経済変数に対する影響を明らかにしている。現在、分析結果の頑健性の確認も随時進めており、研究の完成に近づいている。 また、財政政策だけでなく、関連する分析として金融政策の情報効果に関する分析も進めている。こちらの分析では、高頻度データを利用した最新の分析手法を使用しており、金融政策の情報効果がマクロ経済活動に及ぼす影響を質的・量的に明らかにしている。この研究についても国内大学のセミナーに呼ばれて2回の研究報告を行っている。 さらに、本研究と同様の時系列分析の手法をコロナ下における不確実性の高まりが経済活動に及ぼした影響を明らかにする分析に適用し、その研究で得られた結果は査読付き国際英文雑誌にう採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
財政情報効果の分析は、資産価格に対する影響を分析することにより、その存在を明らかにするという当初の目的だけでなく、マクロ経済変数への波及効果を明らかにする段階まで研究が進んでおり、おおよそ全ての結果が出そろっている。また、既に多くの国内外の学会で採択され、研究報告を行い、多数のコメントをもらっている。あとは、分析の結果を論文にまとめて査読付き国際英文雑誌に投稿するのが目標となるので、順調に研究が進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行している基礎的な研究を査読付き国際英文雑誌に投稿、採択されることがまず第一の目的である。その上で、以下の方向で分析を拡張することを考えている。(1)理論モデルの精緻化、(2)より簡便な情報効果の抽出方法の確立、(3)日本以外のデータを利用した分析。まず、(1)について、現在の分析では情報効果を簡単な2期間モデルの枠組みの中で取り扱っているが、より一般的な無限期間のモデルに拡張することでより豊富な政策含意を導き出せると考えている。(2)は、現状の新聞記事に基づいて財政アナウンスメントのタイミングを見つけ出す方法は、時間が掛かるとともに恣意性を完全に排除できないという問題を含んでいる。そこで、市場参加者の財政政策や経済状況に関する予測のデータを駆使して、より簡便に情報効果が識別できる方法を見つけ出すことを目指す。最後に、(3)として、(2)の方法が確立された下で他の国の分析も行うことで、より頑健な財政情報効果の影響を明らかにすることを考えている。
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