功利主義(utilitarianism)の概念をめぐっては、唱道者と批判者の間でその捉え方に隔たりが存在しているように見受けられる。そこで本研究では、デジタルアーカイブを活用し、「utilitarianism」や「Benthamite」という言葉の用例を質的・量的に精査する事にしたい。反発や批判を通じて功利主義の概念が形成され定位される歴史的経緯を辿る事で、むしろ功利主義の概念の備える特徴やメリットも浮き彫りになると考えられるからである。主観的幸福や多元的指標等が注目を集める現状において、弾力的で客観的な価値判断としての功利主義の強みを改めて検証する事にしたい。
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