研究課題/領域番号 |
23K01334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
広瀬 要輔 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (10761398)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | オークション / 計量経済学 / 実証分析 / 構造推定 |
研究開始時の研究の概要 |
オークションの実証研究では、入札額から入札者の評価額 (財に対して最大限支払ってよい金額) の分布を推定することが目標になる。現在主流の方法はカーネル密度推定を2度繰り返して評価額の分布をノンパラメトリックに推定する方法である。しかしながら、ノンパラメトリック法には共変量の種類が増えるにしたがって急速に推定精度が悪くなる欠点 (次元の呪い) があり、実証研究においてしばしば問題視される。 ノンパラメトリック推定の抱える次元の呪いを回避する手段として様々な分野でセミパラメトリック法が提案されている。本研究課題ではオークションの構造推定の文脈におけるセミパラメトリック推定法を開発する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、新型コロナウイルス感染症の流行初期に社会現象となった消毒用アルコールの転売およびその規制に関する実証分析をおこなった。2020年の新型コロナウイルス感染症流行初期では、多くの消毒用アルコールがインターネット上で転売され、最終的には政府による転売規制が実施された。特に、日本における代表的なインターネットオークションサイトであるYahoo!オークションでは、第1段階として定額販売形式とオークション形式のうち、オークション形式の売買のみが禁止され、第2段階でオークション形式に加えて定額販売による売買も禁止されるという2段階の規制がおこなわれた。 研究では、無水エタノールに関する第1段階規制以前のオークション形式のデータと第1段階と第2段階の間における定額販売のデータを収集し、オークション形式が規制されたことによる余剰の変化を分析した。その結果、50%近くの取引で消費者余剰が減少することなどが分かった。この研究成果を査読付き国際学術誌に投稿したところ、受理され掲載されるに至った。 上述の研究では、入札者の評価額 (商品に対して最大限支払ってよい金額) を被説明変数とし、オークション (または定額販売) ごとの特徴 (例えば、販売期間や出品者の評価など) を説明変数とする回帰モデルの形を課している。さらに、この研究では撹乱項の分布を正規分布としたパラメトリックな分析をおこなった。本研究課題では、最終的には、撹乱項の分布を未知の分布として回帰係数に相当するパラメータを推定するセミパラメトリック推定を実施したいと考えている。2023年度は、このセミパラメトリックモデルにおける推定方法を考え、さらにシミュレーションによる推定量の評価をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、入札者の評価額 (商品に対して最大限支払ってよい金額) を被説明変数とし、オークションごとの特徴 (例えば、販売期間など) を説明変数とする回帰モデルの形を課した上で、入札額から評価額の分布を推定する構造推定を考えている。最終的には、撹乱項に相当する部分をノンパラメトリックに推定し、回帰係数に相当する部分をパラメトリックに推定するセミパラメトリック推定をおこないたい。 現在までのところ、撹乱項にパラメトリックな分布を課した上で評価額の分布を推定する実証分析は実施済みであり、この研究は査読付き国際学術誌に掲載された。 さらに、撹乱項にパラメトリックな分布の仮定を課さないセミパラメトリックモデルについても推定量を考え、さらにシミュレーションにより推定量のパフォーマンスを評価し、上手く機能するという結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、評価額と共変量の間に回帰モデルの形の関係を課す。その上で、観察データである入札額から、回帰係数に相当する部分をパラメトリックに、撹乱項に相当する部分をノンパラメトリックに推定するセミパラメトリックモデルを考える。既に、推定量の提案とシミュレーションによる推定量の評価は終えている。今後は、推定量の漸近的な性質を調べ、実証分析を加えたワーキングペーパーを作成し、学会発表をおこない、査読付き国際学術誌へ投稿する予定である。 また、前述の研究に区切りがついた後は、回帰モデルの形を仮定せず、評価額の条件付き分布をセミパラメトリックに推定するより一般的なモデルを研究する予定である。
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