研究課題/領域番号 |
23K01344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
新関 剛史 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (40733986)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 金融政策コミュニケーション / 期待インフレ率 / 高頻度識別戦略 / ランダム化比較試験 / インフレ期待 / RCT |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、金融政策アナウンス直前と直後に2回家計のインフレ期待を調査することで、いわゆる高頻度識別戦略にも基づいてアナウンスの効果を検証する。また、仮にアナウンスに効果が検出されなかった場合、それが認知されていなかったからなのか、認知はされたがインフレ期待が反応しなかったのかを識別するため、追加で情報提供型のRCTを行なう。具体的には、アナウンスの内容をランダムに選んだ処置群にのみ提供し、比較群には何も情報提供せず、アナウンスの効果を検証する。これらの分析結果は、どのようなアナウンスの仕方がよりインフレ期待に働きかけることができるのかを明らかにする上で重要な示唆をもたらすと考えられる。
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研究実績の概要 |
近年、ゼロ金利制約下において、期待に働きかける非伝統的金融政策が重要視されている。特にGDPの6割弱を占める家計消費を担う家計の期待インフレ率や期待金利に中央銀行がどれだけ働きかけることができるのかを明らかにすることは重要である。 そこで、本研究では日本銀行の金融政策決定会合後に行なわれる総裁記者発表が家計の期待に与える影響を高頻度識別戦略に基づいて分析する。具体的には、総裁記者発表の直前2日間と直後2日間に家計の期待を調査し、その差を比較する。その間は1~2日しかないないため、もし直前と比べて直後の期待が変化していた場合は、それは記者発表における政策アナウンスメントの影響だと言える可能性が高いというのがアイディアである。
米国で実施された研究によると、政策アナウンスメントが家計の期待に与える影響は検出されなかった(Lamla and Vinogradov 2019 JME)。よって、日本でも同様の結果になる可能性が高い。そこで、次の問いとしては、「家計の期待はなぜアナウンスメントに反応しないのか?」があるだろう。そこで、本研究では、政策アナウンスの内容をランダムに選んだ回答者にのみ提供し、家計の期待が変化するかどうかを追加で調査する。もし、それで反応するのであれば、単に日本銀行の宣伝不足ということになろう。一方、もしそれでも反応しないのであれば、そもそも金融政策アナウンスメントで家計の期待に働きかけるのは困難ということなのかもしれない。
2023年度は、予定通り全8回の総裁記者発表前後で家計の期待インフレ率及び期待金利を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、全8回の日本銀行総裁記者発表前後における家計の期待インフレ率・期待金利の調査を実施できた。なお、総裁記者発表の直前直後で期待を比較した結果、マイナス金利解除やYCC撤廃という大きな政策変更であったとしても、金融政策アナウンスメントが家計の期待を変化させたというエビデンスは得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年3月に①マイナス金利解除解除、②YCCの撤廃、③ETF、REITの購入終了という大きな金融政策の変更があったため、これらの政策変更の情報をランダムに選んだ回答者にのみ与え、家計の期待が変化するかどうかを確認する。また、情報提供の効果がどの程度持続的かを検証するため、2週間後に同一個体を追跡調査する。
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