研究課題/領域番号 |
23K01362
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
岡島 成治 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (50733549)
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研究分担者 |
二本杉 剛 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (10616791)
岡島 広子 名古屋大学, 経済学研究科, 講師 (10967590)
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 不正 / 競争 / 自動車産業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、不正を行う利益、費用、及び競争の3つの要素を同時に考慮した実験室実験を行い、競争が不正の利益と費用の合理的判断にどのように作用するかを明らかにする。実験で用いるパラメーターは、実際の不正問題に関するデータを用いた実証分析に基づいて行う。その際、特に見落とされがちな不正発覚の間接的費用の推定に注力する。さらに、実験結果に基づき、特定の映像を見せることで被験者の不正に関する選好を変化させて不正を防止する仕組みの構築を試みる。
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研究実績の概要 |
不正が起こる社会では、経済が非効率的に営まれるため、人々に不正を行わないようにする社会を形成することは重要である。本研究の目的は、不正から得られる便益と不正から得られる費用以外に企業間競争も不正を引き起こしているのではないかという問題提起から便益、費用、過剰競争のどれが最も不正を働かせる動機になるのかを検証する。これまでの研究は、便益、費用そして競争を別々に分け、それらの状況の下で不正が起こるかどうかを分析していた。そこで我々は、より現実社会に近い設定にするために、便益、費用そして競争が同時に起こる状況に分析対象を広げる。 自動車に関するデータを用いて、不正したことでどれだけ便益や費用つまり負の波及効果があるのかを分析した。便益や負の波及効果の大きさが正確に分かれば、不正を行う際のインパクトを確かめることが可能になり、我々に不正を起こさせない動機付けになるかもしれない。具体的には不正を起こした企業の新車販売の減少や株価の下落していることを把握した。例えば、2007年度から2016年度までの月次データを用いて三菱自動車の燃費不正が三菱自動車の販売台数にどう影響があったのかを分析した。その結果、不正を行うことにより約11%の販売数を増加させていることが分かった。株価の方は59%も下落しており、かなりの被害が生じていることが示された。したがって、不正を行うことで企業に多大な損害を及ぼしていく可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、進歩状況に関して、2つの視点から述べる。 1つ目のデータと分析に関して、自動車データや企業データを入手し、分析用にそのデータを変換した。また、日経新聞からどの車がいつ不正を初めて、いつ発覚するかを把握し、分析用のデータと統合した。そしてそのデータを用いて、基本モデルを作成し、結果を導き出した。2つ目の先行研究との位置付けであるが、海外の自動車不正の文献を調べ、我々の研究との違いとの明確化を図っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2つの点で研究を拡張していく予定である。 1点目は、不正が中古車市場にまで影響を及ぼしていると考えられる。したがって、その影響を把握するために、中古車市場のデータを入手する予定である。 2点目は、不正が起こる原因を追究するために、実験を行う。具体的な実験内容は、競争の種類が不正の行いを増加させるかどうかを検証する。競争には2種類あり、1つ目は、他社との比較で勝敗が決まる競争、もう1つは、目標や目的を達成できるかどうかで勝敗が決まる競争である。この2つの競争において不正に影響を及ぼす程度は違う可能性がある。とくに政策当局が企業に政策を課す場合、大抵、企業が目的を達成できるかどうかの競争になる。しかしながら、もし競争の種類で不正が起こる頻度が変わるならば、政策当局は競争の種類を考慮しなければいけない。したがって、その実験を行う予定である。
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