研究課題/領域番号 |
23K01364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
林 万平 関西国際大学, 経営学部, 准教授 (10463316)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | Sythetic Control Method / 市町村 / 長期的復興 / 災害復興 / 災害 / 人口 / 総生産 / 東日本大震災 / Synthetic Control Method / 間接経済被害 / 経済分析 |
研究開始時の研究の概要 |
大災害後に実施される復興政策が被災地の長期的な復興に寄与するかは十分に明らかにはなっていない。喫緊の課題は、東日本大震災の事例研究により被災市町村の所得水準や人口が復興政策により回復するか、長期的な観点から分析することである。そこで本研究では、Synthetic Control Method(SCM)を用いて同震災による間接被害の影響と復興政策の効果を抽出し、復興政策が被災地の復興に寄与しているか明らかにすることを目的とする。本研究の成果により、今後の被災三県の復興に向けた政策立案や、将来発生が予期される南海トラフ巨大地震等の大災害に際して、復興政策の検討に向けた基礎資料の作成が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、東日本大震災における被災三県の市町村の所得水準と人口を対象に、Synthetic Control Method(SCM)を用いて同震災による間接被害の影響と復興政策の効果を抽出し、経年で両者の相対比較を行うことで、長期的な観点から、復興政策が被災地の復興に寄与しているか明らかにすることである。 研究初年度にあたる2023年度は、(1)先行研究の収集、(2)分析にあたってのデータ収集を実施した。(1)については、(A)長期的な災害復興に関する実証研究、(B)SCMを用いた災害復興を含むイベント研究の実証分析、の二領域を中心に論文を収集した。結果、(A)については110本、(B)については13本の論文を収集した。代表的なものは、Chudick et al. (2021), Noy et al. (2022)である。 さらに、(2)については、SCM分析で用いる市町村ベースの長期時系列データの整備を行った。具体的には、(C)市町村別の人口、および(D)市町村内総生産のデータについて、各都道府県に問い合わせを行いデータ収集を行った。(C)については、各都道府県ごとにばらつきはあるものの、1960年代以降のデータの収集を行うことができた。ただし、国勢調査に基づく推計人口ではなく、住民基本台帳ベースのものも混在する結果となった。(D)については、市民経済計算の推計を行っていない自治体もあり、一部の都道府県では十分な期間の市町村内総生産が収集できない場合もあった。その場合は、市町村民所得の収集を行った。 今後は、(3)さらなる論文・データの収集を行いつつ、(4)SCM分析に着手し、論文の完成を目指すことが、2024年度の目標となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
市町村別の分析に使用するデータについて、各都道府県の統計課に問い合わせを行い、長期的な時系列データの整備を行ってきたが、一部でデータの欠損や期間のばらつきが見られることから、分析に向けてさらなる長期の時系列データの収集が必要となることが分かった。具体的に、SCM分析で有用なデータはアプリオリに判断しづらいことから、可能な限り人口・経済規模の説明に有用な時系列データを収集していくこととなる。こうしたデータ整備の再検討・再収集に向けた準備のため、研究の進捗は予定よりも若干の遅れが見られる。また、入手したデータもPDFベースのものが予想より多く見られ、データの整理に時間を要していることも一因である。 今後は、データ収集の速度を上げつつ、並行してSCM分析に着手することで、研究のペースアップを図りたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は東日本大震災における東北三県の被災地の人口と市町村内総生産のデータの推移を確認し、被害の大きさとその後の人口・経済規模の推移に関連性があるか観察を試みる。その中で、特に人口・経済規模の変動が大きい市町村を取り上げ、SCM分析を進めていく予定である。 上記における課題は、第一に、市町村別の東日本大震災の被害データ(人的・建物)の収集である。被災地における災害のインパクトを知るうえでこのデータは欠かせない。さらに、福島原発事故により生活圏が規制されている地域についても、規制緩和のタイミングと当該地域のデータ整備を行う必要がある。 第二に、SCM分析に向けてさらなる市町村別の長期時系列データの整備を試みる。市町村ベースでは収集可能なデータが限られることから、都道府県別の長期時系列データの整備についても合わせて検討する。なお、データの収集だけでなく、整備にも相応の時間が掛かることから、この作業は2024年度前半に集中して行う必要がある。 なお、SCM分析において有効な変数となるデータはアプリオリに判断しづらいため、場合によっては追加的に長期時系列データを再収集する必要があることも考慮して計画を進めていきたい。
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