研究課題/領域番号 |
23K01369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
太田 充 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10176901)
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研究分担者 |
牛島 光一 筑波大学, システム情報系, 助教 (80707901)
山下 裕 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90210426)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 大気汚染 / 二酸化炭素濃度 / 高速鉄道 / 交通手段の変化 / 衛星データ分析 / 環境政策提言 / 公衆衛生改善 / 中国の交通流データ / 衛星情報 / 大気環境改善 / 物流 / 機械学習 / 地域環境改善 |
研究開始時の研究の概要 |
自動車による物流は世界中で増加傾向にあり、それにともなう大気汚染が健康被害をもたらすために重大な問題として関心を集めている。欧州では250以上の都市で低排出ガスゾーン(以降、LEZ)を設定し、自動車の排気ガスの問題に取り組んでいる。しかしながら、LEZが大気環境を改善したという信頼性の高い証拠は僅かしかない。本研究は、衛星情報を利用して、物流における大気環境改善の評価を行う。具体的にはJAXAから提供される衛星データを用いて、二酸化炭素の排出量が多い国(中国)の物流手段が自動車から高速鉄道に移行した効果として、輸送路における大気環境および健康の改善効果を測る。
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研究実績の概要 |
本研究は、中国における高速鉄道の貨物輸送への移行が大気汚染と公衆衛生に与える影響を測定することを目的とする。具体的には、自動車輸送から鉄道輸送への移行が大気中の二酸化炭素濃度にどのような影響を与えるかを解析するために、JAXAから提供される衛星データを用いる。この研究により、交通手段の変更が大気質の改善にどれほど寄与するかの科学的証拠が提供され、環境政策や都市計画における政策提言に資することが期待される。 自動車排出ガスは大気汚染の主要な原因であり、特に急速に都市化が進む中国での汚染問題は深刻である。高速鉄道は輸送効率が高く、排出ガスが少ないため、これを利用することで大気汚染の削減が期待される。本研究では、衛星データを用いて、高速鉄道路線が開通した地域とそうでない地域の大気汚染データを比較分析し、鉄道輸送の普及が大気汚染削減にどのような効果をもたらすかを科学的に評価する。 さらに、本研究は大気汚染が公衆衛生に及ぼす影響にも焦点を当てる。大気汚染は呼吸器疾患や心血管疾患のリスクを高めることが知られており、鉄道輸送がこれらの健康リスクを減少させる可能性を探る。研究結果は、交通政策のみならず、都市計画や環境政策の分野においても重要な示唆を提供することが期待され、持続可能な輸送システムの構築と都市の持続可能性向上に貢献する。 総じて、本研究は環境保護、公衆衛生の向上、経済的効率の向上に寄与する可能性があり、科学的根拠に基づいた政策提言が可能となることで、広範な社会的利益をもたらすことが期待される。また、衛星データを用いる新しい研究方法論は、今後の大気汚染研究において重要な役割を果たすであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況はおおむね順調である。初期段階で計画されていた衛星データの取り込みは一通り完了しており、これには大気中の二酸化炭素濃度やその他の大気汚染物質の分布情報が含まれている。このデータを基に、自動車と鉄道輸送の変化が大気質に与える影響を科学的に評価する準備が整っている。また、筑波大学で行われた北海道大学の研究者との1回の打ち合わせでは、データ解析方法や研究の進め方について具体的な議論が行われ、両研究機関間の協力体制が強化された。さらに、中国の交通流データの収集も進行中であり、これは中国国内の自動車及び鉄道の輸送量や路線情報を把握するために重要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、まず収集したデータを用いて具体的な分析を行うことが予定されている。衛星データと中国の交通流データを組み合わせることで、交通手段の変化が大気汚染に与える実際の影響を詳細に調査し、環境改善に資する科学的根拠を構築する。分析作業は筑波大学と北海道大学の共同研究チームによって進められ、結果は中間報告としてまとめられる予定である。また、得られた初期の研究成果は学術誌への投稿や国際会議での発表を通じて公表することで、学術コミュニティとの知見を共有し、さらなるフィードバックを得ることが計画されている。これにより、研究の質をさらに高め、実社会への応用につながる具体的な提言を行うための基盤を固めることが目指されている。
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