研究課題/領域番号 |
23K01396
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊藤 恵子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40353528)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | グローバル・サプライチェーン / 国際貿易 / 輸出管理 / 経済安全保障 / 日本企業 / 経済ショック / 貿易 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、米中対立の激化などを背景に、国境を越えて展開されてきたグローバル・サプライチェーン(Global Supply Chain, GSC)を見直す動きが出ている。 欧米や日本の政府が、安全保障上の理由で、軍事転用可能な技術を用いた品目の輸出管理を強化しているため、各企業は生産の効率性のみならず、経済安全保障政策も考慮して、生産拠点の立地や貿易相手を変更する必要に迫られている。 本研究では、税関が収集する「輸出入申告データ」の個票等を利用して、日本企業がこれまでにどのようなパターンでGSCを展開してきたかを明らかにし、経済ショックや輸出管理強化による影響が企業ごとにどう異なるかを分析する。
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研究実績の概要 |
研究代表者は、財務省の財務総合研究所との共同研究プロジェクトに参画し、税関データの整備や分析を進めている。まず、2023年度は、日本企業がこれまでにどのようなパターンでグローバル・サプライチェーンを展開してきたかを明らかにするため、日本企業の貿易パターンを詳細に分析した。税関の収集する「輸出入申告データ」と経済産業省の『企業活動基本調査』の調査票情報とを接続し、企業レベルの品目・相手国別貿易パターンを分析した。その結果を、財務省財務総合政策研究所のディスカッション・ペーパーとして公表した。このディスカッション・ペーパーに基づいて英文の論文を執筆し、国際学術雑誌に投稿する準備を行った。 さらに、同じデータセットを利用して、各企業が為替レートの変動をどれだけ輸出価格に転嫁するか、また、価格変動と輸出数量の変化との関係を分析する研究に着手した。この分析結果から、どのような貿易パターンの企業が、為替変動などの経済ショックによりどのような影響を受けるのかを明らかにすることができる。分析の途中経過は、国内大学の研究会で報告するなどして、他の研究者からの助言を受けながら、分析を進めている。 また、日米政府による輸出管理強化が、半導体に関連する産業の企業に与えた影響についての研究にも着手した。アメリカ政府の懸念顧客リストに含まれる中国企業との取引がある日本企業を特定し、これら企業の売上高や輸出額の動向の分析を開始した。経済産業省の『企業活動基本調査』のデータを主に用いて、中国への輸出額の変化や企業業績の変化などを分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特段の理由なく、おおむね計画通りにデータの入手と整理を進め、分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に公表した財務省のディスカッション・ペーパーにもとづいて執筆した英文論文を国際学術雑誌に投稿し、掲載をめざす。また、為替レートの変動と輸出数量との関係についての分析結果を論文にまとめ、学会報告や学術雑誌への投稿を行う。さらに、輸出管理が強化されている半導体や電子部品、通信機器産業に属する企業に焦点を当てた分析についても、ディスカッション・ペーパーとして公表し、学会報告や国際的な学術雑誌への投稿を行う。 経済ショックに際して、サプライチェーンがどのような影響を受けるのかを分析するため、東京商工リサーチが提供する企業間取引関係の情報などを利用し、取引関係を通じて上流下流にショックがどのように伝わるかを分析する。売上高や調達額の変化に加え、技術や情報のフローの変化などにも注目して分析を行う。 「輸出入申告データ」を利用した分析は日本初の試みであるため、国内学会での特別セッション報告などを企画し、日本語でなるべく平易にデータの特性やデータ分析の意義を説明して、広く社会に発信する予定である。さらに、財務総合研究所との共同研究やその他の関連研究で協力してきた国内外の研究者らを集め、一連の研究成果を発表する国際ワークショップの開催を計画している。また全米経済学会や欧州経済学会などの権威ある学会で、セッションを組織し、報告することも目指す。
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