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経済グローバル化と所得格差:チリの家計調査データを用いた実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K01401
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07040:経済政策関連
研究機関神戸大学

研究代表者

村上 善道  神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (50709772)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワードチリ / グローバル・バリューチェーン(GVC) / 賃金格差 / マイクロデータ / 費用関数 / 所得格差 / 資源価格 / 家計調査データ
研究開始時の研究の概要

本研究は、2000年以降のチリを対象に、9時点の家計調査データを用いてグローバル・バリューチェーン(GVC)の参加度・上流度と鉱物価格変動が技能労働者の賃金プレミアムに与えた影響を分析する。本研究の着目する変数は、GVCの参加度・上流度は労働者の属する産業によって外生的に異なり、鉱物価格は労働者の居住する地域の労働市場でどの程度当該産業が存在するかで外生的に異なる。従って、本研究は、個人レベルの家計調査データに産業または地域レベルのパネルデータをマッチさせて差分の差分法を用い、これらの因果的効果を明らかにする。

研究実績の概要

本年度は研究計画書に従って、チリのグローバル・バリューチェーン(GVC)における位置が技能・非技能労働者間の賃金格差に与えた影響に関する実証研究を中心に研究を開始した。
文献調査を行い、全国を対象とした家計調査データ(Socio-economic Characterization Survey, CASEN)と首都サンティアゴを対象とした家計調査データを用いて、チリにおける賃金格差の長期的動向を明らかにした。これらをもとに、チリのグローバル化と賃金格差に関して、代表者のこれまでの研究結果を含めてまとめたサーベイ論文を日本語で公刊した。
研究代表者が代表者を務める若手研究「資源豊富国における海外直接投資と国内企業の生産性:チリにおける事例研究」(20K13482)の成果として、チリの1995年から2007年の事業所レベルパネルデータ(National Annual Manufacturing Survey, ENIA)にチリの産業別のGVC上流度・参加度の指標をマッチさせたデータセットを作成済みであったので、これを利用して分析を開始することとした。具体的には、GVC指標のような産業属性を示すパラメータを含むトランスログの費用関数から、技能労働費用の総労働費用に対するコストシェア方程式を導出した。これを用いて、生産する財のGVCにおける上流度・参加度が技能労働者のコストシェアに与える影響を事業所レベルパネルデータを用いて分析した。この結果、GVCにおける上流度・参加度は技能労働者のコストシェアに対して有意に負であることが分かり、これまでの多くの先行研究とは異なり、チリにおいてはGVCにおける上流度・参加度は賃金格差を縮小させているという重要な結果を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述の通り、本年度は中心となる研究課題について、先行研究をもとに理論モデルから実証分析の定式化を導出し、実証分析を開始し最初の分析結果を得ることができたため、「おおむね順調に進展している」と評価することができる。
なお、比較的早く分析結果を得ることができたのは、前述の通り研究代表者が代表者を務める若手研究「資源豊富国における海外直接投資と国内企業の生産性:チリにおける事例研究」(20K13482)の成果を用いることができた点が大きい。研究計画では、複数時点の家計調査データに産業レベルのGVC指標をマッチさせて分析を行う予定であったが、若手研究で作成した事業所レベルパネルデータにGVC指標をマッチさせたデータセットを使用することができ、さらに実証分析の定式化も同若手研究で用いたトランスログの費用関数を使用できることが分かった。パネルデータを用いることで、時間に関して不変な属性をコントロールすることができるという点でも優れているので、本年はまずそれを用いて分析を開始することにした。

今後の研究の推進方策

まずは、昨年度得られた「GVCにおける上流度・参加度は技能労働者のコストシェアに対して有意に負」という結果のロバストネスをチェックし、この結果をいったん英語論文としてまとめて査読付きの国際ジャーナルに投稿する予定である。
重要な点として、当初の計画では、複数時点のクロスセクションの家計調査データ(CASEN)を使用する計画であったが、チリには同一個人を複数時点にわたって調査した家計パネル調査(Social Protection Survey, EPS)が入手できることが分かった。そこで申請したところ、2002年から2019年までの計7時点わたる個人のパネルデータを入手することができた。これを用いれば、当該個人が雇用される産業のGVCの上流度・参加度が賃金に与える因果的な効果を識別することができると考えられる。現在調べた限りでは、この家計調査パネルに産業属性のパネルデータをマッチさせて行った研究は稀であり、オリジナリティの高い研究になる可能性が高い。これを用いて、事業所レベルのパネルデータを用いた場合と同様に「チリにおいてはGVCにおける上流度・参加度は賃金格差を縮小させる」という結果が得られるかを検証する予定である。
なお、本年度においても昨年度同様、指導院生を学生研究支援として雇用できることが確定しているので、学生研究支援員の研究補助を有効に活用して効率的に研究を進めていきたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「チリにおける経済グローバル化・自由化を振り返る:所得格差との関係を中心に」2023

    • 著者名/発表者名
      村上善道
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 227(6) ページ: 109-138

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「チリにおける経済グローバル化・自由化を振り返る:所得格差との関係を中心に」2023

    • 著者名/発表者名
      村上善道
    • 学会等名
      第44回日本ラテンアメリカ学会定期大会 シンポジウム「1973-2023:チリから見るラテンアメリカの半世紀とこれから」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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