研究課題/領域番号 |
23K01420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
恩地 一樹 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80709858)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 法人税 |
研究開始時の研究の概要 |
法人税制はどうあるべきか.なかでも,企業の事業再編活動にかかる税制はどうあるべきか.本研究では,税の企業買収市場における役割について実証分析を行う.特に株主への課税が企業の買収意欲を左右しうるという理論的含意に着目し,配当課税と譲渡益課税のバランスの影響を実証的に検証する.日本のM&A案件レベルデータを用い,構造推計ならびに準実験の手法を用い複合的に検証する.現在の日本の税制では,大口個人株主にとって配当を受け取るよりも余剰金を繰り延べる方が有利となる側面があり,過剰に合併買収が行われ社会厚生が減少している可能性がある.証拠に基づく政策立案(EBPM)に貢献する知見を提供することも目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究では,税の企業買収市場における影響についての学術的議論に貢献することを第一の目的とする.本年度は主として以下の研究課題を取り上げた:(1)株主への課税の役割を切り口とし,イベントスタディーの手法を応用し税制改正の影響を検討する実証分析;(2)これまでの研究で応用してきた構造推計の手法の応用可能性に着目し,分析対象の拡大と新しい側面の検証.
研究課題(1)については,参加した国際学会で主要先行研究の著者と研究テーマについて有益な研究交流を行うことができ,研究の発展につながるフィードバックを得ることができた.この先行研究でもイベントスタディーの応用が行われているのであるが,研究準備を進める中でこれまでと違った応用可能性の気づきにつながった.実証分析のために必要なデータについては,アルバイトを雇用し整理の進展をすすめ作業の効率化を図った.関連研究を論文として国際雑誌に公表した.研究課題(2)については,当初は理論上重要でないと判断し研究対象外であったサンプルを分析したところ,税の効果の異質性についての発見があり,分析フレームの補正を行い緩和因子の存在を明らかにした.この進展について国際学会で研究報告をおこない,有益なフィードバックを得ることができた.引き続き国外の研究協力者達と研究打ち合わせを積極的におこない研究の進展を図った.なかでも構造推計から得られる推計値の解釈についてニュアンスを深めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)株主への課税の役割を切り口とした税制改正の影響を検討する実証分析と(2)これまでの研究で応用してきた構造推計の手法の応用可能性に着目した分析を中心にすすめてきた.国際学会での研究成果の報告を2回行っており,内外の研究者から有益なコメントを得て,それを生かす形で研究を発展させた.この点でもおおむね想定通りの研究成果がえられている.関連論文1本を国際雑誌に公表することができている.ただデータの整理には予想以上に時間を要しており,この点での研究進捗はやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
国際学会で報告した研究成果を論文としてまとめワーキングペーパーとして公表し国際雑誌で公表にむけて準備する.これまでの研究から派生した応用分析についての検討を進め,他のデータソースの入手可能性も踏まえつつ柔軟に研究をすすめる.海外の研究協力者を日本に招聘し研究打ち合わせの効率化と研究の進展を図る.データの整理を外注やアルバイト雇用も活用しつつ進展させる.
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