研究課題/領域番号 |
23K01421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
宮崎 智視 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (20410673)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 公共投資 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、ゼロ金利制約下における公共投資の経済効果を、地域レベルのデータと企業レベルのミクロデータを用いて、定量的に計測することである。 最初に、金融政策がゼロ金利に陥った1990年代後半以降とそれ以前の期間とに分けて、長期停滞経済下における公共投資が地域活性化・地方創生の手段として有効であったか否かを明らかにする。次に民間投資を対象として、企業レベルのミクロデータを用いることで、公共投資が中小企業支援や創業支援に貢献し得るのか否かについても検証する。いずれも日本では先行研究がなされていないテーマであるため、新しい政策的含意が得られることが期待される。
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研究実績の概要 |
実施初年度である2023年度は、関連するデータの収集と整理に努めた。まず、公共投資政策ショックの計測ではFactor Augmented Vector Autoregressionモデル(FAVARモデル)を用いるが、その際に必要なマクロデータを先行研究に基づき収集・整理した。基本的には、「国民経済計算年報」を中心として四半期データを収集し、一部月次データのものは四半期変換をし、なるべく直近のデータまで集めた。また、地域データについても関連するデータを整理した。分析は2024年度に行う予定であるが、必要に応じてデータを追加したり、修正したりすることも視野に入れている。 この他、地域データを用いた関連研究について、東日本大震災の復興投資が震災地域の雇用創出に寄与したのか否かについての研究が、査読の後に海外の学術雑誌に採択された。同研究では、復興投資が東北地方を中心とした被災地の雇用創出に寄与したとの結果を示している。東日本大震災の復興投資は長期停滞経済下での公共投資との側面もあるが、この結果は長期停滞経済下での公共投資の有用性を、被災地における雇用創出との面からもサポートするものである。 また企業・産業レベルのデータを用いた研究について、公共投資が長期停滞経済下とそれ以外の期間とで異なる効果があるのか否かを探った研究がJournal of the Japanese and International Economies誌に刊行された。同研究では、長期停滞経済下において公共投資がより株式市場を活性化させること、特にそれは製造業について頑健であることが示されている。長期停滞経済下での公共投資の有用性は多くの論者が指摘するところであるが、本研究は株式市場活性化の側面からこの議論を支持するものと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公共投資政策ショックの計測と、地域データを用いた分析を行うためのデータはほとんど揃えることができたと判断される。但し、FAVAR分析を行う場合には膨大なデータの整理が必要とされる。また、例えば月次データを四半期に変換するなど、加工が必要な場合も生じた。以上の点で想定していた以上にデータ整理に時間が取られたことから、公共投資政策ショックの計測まで進むことができなかった。 但し、地域データないしは企業・産業レベルのデータを用いた関連研究が2本、査読の後で海外学術雑誌に採択された。また、地域データはすぐにパネルデータ分析ができるように整理されている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、まず公共投資政策ショックの計測を行う。基本的にはFAVARモデルを用いるが、必要に応じてその他の方法、例えば財政政策に関する構造VAR分析でよく用いられるBlanchard and Perotti (2002)によるショックの計測なども試みるように考えている。その上で、地域データを用いた実証分析を進める。必要に応じてその他の変数も加えるようにしたい。 企業データを用いた分析については、データの整理を進めると同時に、公共投資以外の要因、例えば税制の影響なども検証することも考えている。 この他、グローバル経済の急激な変化を勘案した分析や、市町村レベルのデータを用いた研究への展開も視野に入れている。
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