研究課題/領域番号 |
23K01434
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
奥山 尚子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (80617556)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 利他的行動 / 寄付 / ファンドレイジング / 労働 / 所得 / 資産 / 格差 / 経済的選好 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、利他的行動(寄付)に対する労働・所得・資産の影響と効果に関する実証分析を行い、定量的には解明されていない点を検証する。人口高齢化や格差、情報通信技術の進歩が加速するなかで、共助・互助による経済援助や資源配分の意義は大きく、寄付はその実現のための重要な財源である。社会階層による生活環境や経済資源、消費嗜好・性向を考慮した行動インセンティブを考え、寄付行動のパターンや寄付者のプロフィール、利他的価値観と行動の世代間継承のメカニズムを明らかにし、社会的消費・支援による資金循環と戦略的ファンドレイジングのための制度設計や機能整備について、具体的な課題や政策処方を提供する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、アンケート調査の設計のための準備と実施、既存調査のデータを使った予備分析を行った。分析の理論・実証モデルや検証仮説、アンケート調査に含める質問項目を精査するため、年度前半から後半にかけて、先行研究サーベイ、労働者属性や社会階層による寄付・チャリティの実態と動向に関する文献・資料・公開データの収集を進めた。本研究課題で必要な労働・所得・資産に関する属性や情報の特殊性の高さから、調査回答者の獲得および分析遂行の担保への対応が重要であるため、富裕層の慈善活動に関する公開情報や、申告所得税データによる所得分布の情報などを使った調査分析を行い、アンケート調査に必要な情報把握と予備的な分析を進めた。富裕層の慈善活動に関する公開情報については、国内で利用可能な情報が皆無であり、国外情報(Forbes billionaire list、Giving Pledge, Philanthropy Top 50 by Chronicle of Philanthropy、Million Dollar Gift Listなど)を調査した。併せて、これらの公開データベースを用いた実証分析による研究論文を集め、データの特性や長所・短所、知見と論点の整理も行った。 年度後半の残りは、それまでに行った情報収集や予備的分析の整理と、アンケート調査の設計と準備を進めた。アンケート調査は年度末までの実施とデータの回収・整理の完了を予定していたが、諸理由により調査実施に係る調整や交渉が難航したため、実施を延期した(「現在までの進捗状況」で詳述)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンケート調査の実施が遅れている。年度前半で完了させる予定であった調査設計のための情報と知見の事前収集、既存データを使った予備分析に当初の予定より時間を要し、年度後半へ持ち越しとなってしまった。また、調査設計と実施にあたっては、本研究課題で必要な労働・所得・資産に関する属性や情報の特殊性から、サンプリングのメッシュ設計や調査回答者のスクリーニング、回答者ごとの回答制御の設定、統計解析・計量分析に耐え得る標本の確保、調査実施の時間的・金銭的コスト等の点で精査を徹底し、調査設計の妥当性やフィジビリティを高める必要がある。しかしながら、そのための研究報告や相談・助言の機会を十分に獲得できなかった。 加えて、新型コロナウイルス感染症を経て、調査実施の環境や実施受託者の事情が大きく変化し、スケジュールや経費などの見直しを余儀なくされた。調査の仕様や費用見積もりに関する検討や調整、調査委託会社との交渉について想定以上に精査や時間を要し難航したことが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、23年度における遅延を取り戻すために、年度前半では、研究報告や相談・助言の機会を確保し、調査委託会社との調整や交渉を迅速に進め、アンケート調査を実施し完了する。年度後半では、調査の個票データを使って、本研究課題の問いの一つである労働者の属性・多様化と寄付行動に関する分析に取り組む。年度中にこの分析の成果報告や取りまとめの機会を得ることはかなり厳しいかもしれないが、少なくとも前年度までに行った調査や予備分析については、国内外の学会やセミナーでの報告・発表の機会獲得と論文取りまとめ、学術誌への投稿に努める。学術誌からリプライが来た場合は、速やかにその対応を行う。アンケート調査の個票データを用いた分析についても、次年度での報告応募や論文執筆、学術誌投稿となるよう計画的に進めていく。 初年度での計画遅延による影響を最小化し、次年度以降の研究に支障が出ないように、特に調査の設計や実施に係る作業と準備を徹底したい。研究に係る準備や環境設定については良好な見通しが経っており、時間管理を徹底して着実に研究を遂行したい。
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