研究課題/領域番号 |
23K01436
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90457036)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | タスクア・プローチ / 分配問題 / パネル・データ / タスク・アプローチ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,日本において公開が進む職業単位のタスク情報と,申請者らが独自に構築した個人単位のタスク情報を含んだパネルデータを活用して,労働者グループによるタスク供給の違いに着目したタスク間の代替・補完関係の検証を行うとともに,個人内のタスクの変動の背後にある,組織内部や市場の調整機能を明らかにする。本研究の意義は,タスクに対する需要の変化が,具体的な労働者グループ間の分配問題に及ぼす影響について含意を得るとともに,労働需要の変化に対する日本の労働市場の調整過程を明らかにすることで,従来の研究では明らかにされていない,タスクの視点からの需給調整メカニズムについて示唆を得るという点にある。
|
研究実績の概要 |
本研究では,日本において公開が進む職業単位のタスク情報と,独自に構築した個人単位のタスク情報を含んだパネルデータを活用して,労働者グループによるタスク供給の違いに着目したタスク間の代替・補完関係の検証を行うとともに,個人内のタスクの変動の背後にある,組織内部や市場の調整機能を明らかにする。 第1に,労働者グループによるタスク供給の違いに着目した,タスク間の代替・補完関係の検証として,外国人労働者と日本人労働者の代替・補完関係,ならびに,若年者と中高年齢者の代替・補完関係を明らかにする。分析では,職業別のタスクデータのほか,統計法に基づき,政府統計の調査票情報を利用する。これらを用いて,タスクの価格や投入量,労働者グループの相対供給のデータを構築し,タスクの相対需要が労働者グループ間格差に与えた影響を考察する。 第2に,申請者らが過去に行ったタスク調査の回答者に対する追跡調査を2024年3月に実施し,同一個人における時間を通じたタスク変動のメカニズムを明らかにするため,タスク割当の含意に従って,個人のタスクとスキルの関係,および個人内のタスク変動を定量的に評価する。これにより,個人の変化するスキルや企業内外の移動経験とタスクの変化との関係を明らかにする。 2023年度は,第1の研究目的について,計画通り,調査票情報の利用を申請し,調査実施者より利用承諾を得た。また,2024年度より分担研究者の追加的な参加を得るなど,分析を行う準備を整えた。第2の研究目的についても,計画通り,独自の労働者調査の追跡調査を実施して約6000人の回答データを収集した。これにより,2024年度以降の分析の準備を整えた。さらに,過去2回の追跡調査のデータを用いて,テレワークへの移行が仕事内容と生産性の変化に与える影響に関する共同論文をまとめて国際学術誌に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,その分析目的に応じて,(1)政府統計の調査票情報を用いた研究と,(2)独自に実施する労働者調査のパネル・データを用いた研究を計画している。研究計画の初年度である2023年度は,計画書に記載の通り,(1)について,分析に必要な大きく3種類の統計の調査票情報について,実施官庁に申請の上,利用承諾を得ており,分析の準備を整えた。また,(2)についても,過去に蓄積したパネル調査の追跡調査を2024年3月に実施し,約6000人の回答をデータを得ており,計画通り,分析の準備を進めることができた。以上より,計画はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は,前年度末に入手した政府統計の調査票情報と,独自のパネルデータを用いた研究を本格的に進める。それぞれの研究テーマについて,専門的な知見を有する共同研究者との共同研究体制を構築し,研究計画の速やかな進行を図る。 具体的には,調査票情報を用いた研究として,【分析1】外国人労働者と日本人労働者の代替・補完関係,ならびに【分析2】若年者と中高年齢者の代替・補完関係を明らかにする。また,独自のパネルデータを用いた研究として,【分析3】個人のタスクとスキルの関係,および個人内のタスク変動を定量的に評価する。これにより,個人の変化するスキルや企業内外の移動経験とタスクの変化との関係を明らかにする。 それぞれについて,年度前半に分析を進める。年度後半には,分析結果を論文にまとめ,次年度に開催される学会報告の申込みを行うことを目標とする。
|