研究課題/領域番号 |
23K01451
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山根 明子 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (60580173)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ファイナンス / 株式リターンのクロスセクション / 株式デュレーション / 資産価格 / 株式の期間構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、短期的な回復を伴う負のショックに対する株価の反応の違いが株式デュレーションによって説明されるのかどうかを明らかにする。COVID-19パンデミックでは、企業の直近のキャッシュフローは棄損された可能性はあるものの、負のショックからの回復は早く、遠い将来の期待キャッシュフローが受けた影響は限定的であると考えられる。株式デュレーションの違いがパンデミックに対する反応の違いと整合的であるかどうか、また、株式の期間構造に関する先行研究と整合的かどうかを示す。さらに、今回のパンデミックでは複数回にわたって感染拡大が起きていることから、投資家の学習の過程についても分析を試みる。
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研究実績の概要 |
2023年度には、まず、関連分野の先行研究のサーベイを行った。株式タームストラクチャーに関する先行研究の分析結果は、本研究課題で想定している結果と整合的なものが多いものの、一部の先行研究については非整合的な結果が得られており、注意が必要であることが分かった。株式デュレーションの計測方法についても、近年の先行研究では複数の手法が提案されていることが明らかになった。 次に、株式デュレーションを日本市場の個別銘柄について計測し、株式デュレーションの大きさで分類された5分位ポートフォリオを作成した。株式デュレーションの計測方法については、いくつかの方法を試みた結果、先行研究で提案されたもののうち最も単純なものを採用している。研究の方向性を探るための予備的な分析として、先行研究が米国市場に対して示したことが日本市場にも適用可能かどうかを確認した。その結果、日本市場に対しても概ね類似した現象が観察されている。さらに、1990年以降のデュレーション5分位ポートフォリオのリスク調整済リターンの系列を作成し、その傾向を明らかにした。パンデミックや世界金融危機などの大きな負のショック時に、デュレーションの短い銘柄のパフォーマンスが大きく低下することが示唆される結果が得られた。この結果を受けて、市場の不確実性を示す指標を用いてデュレーションlong-shortリターンを説明できることを明らかにした。 以上の分析結果を "Implied Equity DUration: Lessons from the Japanese Financial Crises" として論文にまとめ、日本ファイナンス学会第5回秋季研究大会(オンライン)にて学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関連分野のサーベイは順調に進んでいる。1年目の研究結果から論文を執筆して既に学会報告しており、今後投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究結果を踏まえ、以下の2点を候補として考えている。(1)株式デュレーションの短い銘柄が危機時にパフォーマンスが低下することはデータから示された。これを株式デュレーションがプレミアムを生む原因としてとらえ、理論モデルを構築できるのではないか。(2)市場の不確実性を示す指標として、深刻な危機時にのみ大きく上昇(または下落)するような性質を持つ系列を用いることで、株式リターンの説明力が上昇するのではないかと予想される。例えば、EPU(Economic Policy Uncertainty)はそういった性質を持つ指標であるが、これらの指標がとらえているリスクとは何なのか、経済学的な解釈が可能な説明ができるとよいのではないか。 今後追加のサーベイを行い、より具体的な研究方法を決定する予定である。
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