研究課題/領域番号 |
23K01455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
浅井 義裕 明治大学, 商学部, 専任教授 (60433645)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 保険需要 / リレーションシップバンキング / 中小企業金融 / 役員派遣 / 金融知識 / 損害保険 / 生命保険 / D&O保険 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究プロジェクトは、中小企業金融における損害保険の役割を、D&O保険がカバーするリスクなど、個別のリスクの観点から明らかしようとするものである。また、本研究プロジェクトは、中小企業においても、経済的困窮度、海外との取引とD&O保険などの購入の間に有意な関係が存在しているのかを実証的に明らかにしようと試みようとしている点が新しい。すなわち、本研究プロジェクトでは、従来の申請者の研究で明らかになってきたこと(中小企業における資金制約と損害保険の役割)を踏まえ、明らかになった課題に取り組み、世界の金融・保険研究のフロンティアに貢献しようと試みるものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、「1.学術論文の執筆」、「2.アンケート調査票の作成の検討」を行った。 1について、上場企業の保険需要を明らかにしようとする実証研究はいくつかあるが、中小企業の保険需要に関する研究は、適切なデータが入手できないために非常に限られている。そこで、本年度の研究では、過去に行った業種横断的なアンケート調査の結果を利用して、中小企業の保険需要を分析し、以下のことを明らかにした。第1に、メインバンクとの関係が比較的弱い中小企業ほど保険需要が高い。第2に、倒産確率の高い中小企業は保険需要が少ない。第3に、系列企業はより多くの保険を需要する。さらに、保険需要は産業によって異なり、建設業やその他流通業などでは、銀行との関係と保険需要の間に有意な関係は確認できなかった。上記の研究結果は、海外の学術誌へ投稿している。 2について、次年度に実施する予定のアンケート調査票について、質問項目を検討している。地域金融機関等において取引先企業に対する人材紹介業務が可能である旨が明確化されたことで、現在、多くの地域金融機関等が、経営改善支援サービスの一環として取引先企業への人材マッチングに取組み、経営人材の確保や副業・兼業人材の活用が進められている一方で、中小企業における金融機関からの役員・従業員の受け入れの実態ついては実証研究が進んでいない。 今後は、保険需要の分析とともに、金融機関からの役員の受け入れ、経営者の金融リテラシーなど、より広い視点から、中小企業の保険需要の分析、実態の解明を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の一部を海外の学術雑誌へ投稿できている。アンケート調査票の作成の準備も進められている。
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今後の研究の推進方策 |
中小企業の保険需要の分析を行うために、保険需要額を明らかにする。 リレーションシップバンキングや信用リスク、節税効果などが重要な要因であることが分かってきたが、経営者の金融リテラシーなど、従来とは異なる視点から、中小企業の保険需要の実態を明らかにする予定である。また、上場企業の研究は進んできている、金融機関からの役員の受け入れといった視点も盛り込みつつ、より多面的に、中小企業の保険需要の解明を進める。 さらに、日本以外の中小企業の保険需要の分析はあまり進んでおらず(近年イタリアのデータによる研究がようやく発表された程度)、日本以外の国の中小企業の保険需要の分析を行い、日本の保険需要の実態と比較することで、中小企業の保険需要にとって普遍的な要因、さらに国ごとに異なる要因を明らかにしていくことも、上場企業に比べて研究の展開が遅れている中小企業の保険リスクマネジメント、資金調達の全容を明らかにしていく上で重要であろう。
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