研究課題/領域番号 |
23K01461
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
猪口 真大 立命館大学, 経営学部, 教授 (60387991)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国際資本フロー / インフロー要因 / 金融危機 / 2国間フロー / Gravityモデル / 証券投資 / 新興国 / 国際資本流入要因 / 2国間資本フロー / エクイティ・インフロー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、2国間の資本フロー・データを使用することで、先進国から新興国へのエクイティ・インフローの要因を資本流出元の国ごとに分けて分析する。資本流入の要因として、従来推定されてきた国内要因および米国の指標を用いたグローバル要因だけでなく、資本の流出元の国の経済環境・金融市場に関する要因を加えて検証する。これにより、先行研究よりも詳細かつ正確な資本流入要因の考察が可能になる。 さらに、世界金融危機、欧州ソブリン債務危機、および、Covid-19騒動の時期における流入要因の変化も考察する。この分析から、危機の中心となった国や地域に関する要因の影響の大きさが危機時にどう変化したのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、先進国から新興国への資本フロー要因が、過去の国際的な金融危機や混乱にどのような影響を受けたのかを考察する。とりわけ、従来グローバル要因として取り扱われてきた変数や危機の発生と密接に関係した先進国における経済変数が新興国各国への資本フローに与えた影響について、各危機時の間でまたは危機以外の時期とどのように異なるのかに焦点を当てる。そのために、新興国各国の合計の資本フロー・データではなく、2国間のフロー・データを用いて分析する。初年度である2023年度は、先行研究をサーベイするとともに、推定で使用するデータセットの構築を進めた。 先行研究については、2国間データを用いて資本フロー要因を分析したものだけでなく、国際貿易要因を分析したものも対象としてサーベイを行った。2国間の資本フロー要因を考察した先行研究が本研究に直接的に関連する一方、それらはいずれも、国際貿易要因で用いられたGravityモデルを使用して分析していることが理由である。サーベイの結果、資本フロー要因を分析する推定式の根拠となる理論モデルが明確になるとともに、先行研究で用いられた変数についても明らかになった。これをもとに、本研究で用いる分析手法や使用する変数の検討を開始した。 データセットの作成については、まず、申請者自身の過去の研究の際に収集した2国間の株式投資および債券投資の資本フローのデータを利用して、先進国から新興国への2国間のフロー・データを実証分析で使用可能な形式にまとめた。さらに、先行研究のGravityモデルで使用されている2国間の関係を示す指標および各国の様々な属性や変数に関する指標も収集し、本研究の推定に適用できるデータセットの一部として構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関連する先行研究のサーベイや実証分析で使用するデータセットの構築は、計画当初から時間が一定程度かかることを想定していた。サーベイについては、その理由の一つとして、対象が、2国間モデルを用いた資本フロー要因に関する先行研究だけでなく、Gravityモデルを使用している国際貿易要因についての研究に及ぶことが挙げられる。なお、Gravityモデルはもともと貿易要因を考察するために用いられたモデルであり、それが資本フロー要因の分析にも応用されている。2023年度にサーベイを進めたところ、実際に、国際資本フローについてGravityモデルを適用して考察した先行研究だけでなく、Gravityモデルを使用して国際貿易要因を考察した主だった先行研究についてもサーベイする必要が生じた。さらに、国際貿易のGravityモデルを資本フローのGravityモデルに応用する際の理論的な根拠となる先行研究についても確認した。したがって、予想された範囲ではあるが、サーベイには通常よりもやや多くの時間を費やすことになった。 さらに、2国間データは、各国別に統計値を合計したデータと比べて、同じサンプル国数の場合、データ数が飛躍的に増える。この点も事前に想定していたとおり、実際にデータセットの作成には多くの時間を割く必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先行研究のサーベイに基づいて実証分析で用いる変数を確定し、推定作業を進めることになる。はじめに、2024年度は、2023年度に引き続き先行研究のサーベイを行いながら、説明変数を確定する計画である。本研究は証券投資フローを対象とするが、先行研究では証券投資よりも国際的な銀行貸し出しを分析したものの方が多かった。したがって、過去の分析で共通に用いられている変数を中心に検討し、本研究の目的に合致した説明変数を慎重に決めていく計画である。具体的には、Gravityモデルで使用される変数や資本フローの出し手の国の経済変数、受け入れ側の国の経済変数、グローバル変数を検討することになる。一方、被説明変数は、現在のところ、新興国各国における先進国からの株式資本フローを予定している。しかし、データのアベイラビリティは国によって異なるため、今後データの精査を進めることで、本研究の推定対象とする期間を確定する。もちろん、以上のような変数の検討を進めていくと、データの収集作業も同時に行うことになる。したがって、2024年度も2023年度と同様に、データセットの作成を継続する。 その後、完成したデータセットを用いて実証分析を開始することになる。その際、各危機時の資本フロー要因の変化については、ダミー変数を使用して分析することを予定している。
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