研究課題/領域番号 |
23K01462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
木成 勇介 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (10509855)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | バブル / トレンド追従型期待 / 金融リテラシー / 自信過剰 / 期待形成 |
研究開始時の研究の概要 |
人々の期待(=予測)はトレンド追従型として表現されることが多くの先行研究で明らかになっている。トレンド追従型期待は継続的な上昇と下落を繰り返す特徴を持ち、資産価格バブルの発生・成長・崩壊と深く関連すると考えられている。本研究では、金融リテラシー(=金融知識)とそれに対する自信がトレンド追従型の期待形成に与える影響を明らかにすることで、金融教育の推進がバブルを抑制する可能性について検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、金融リテラシーとそれに対する自信がトレンド追従型の期待形成に与える影響を明らかにすることで、金融教育の推進がバブルを抑制する可能性について検証することである。資産価格に対する期待を問う実験を実施し、個々の被験者の期待が過去の資産価格の変化から影響を受ける度合いを推定する。これをトレンド追従の強さを示す尺度とし、この尺度に対する金融リテラシーとそれに対する自信の影響を推定することで、金融知識の多寡及び自信の程度がトレンド追従の強さに与える影響を明らかにする。 2023年度は、パイロット実験として被験者38名を対象に資産価格に対する期待を問う実験を実施し、先行研究同様、バブルが発生すること、また被験者の期待はトレンド追従型であることを確認した。加えて、金融リテラシーが高いほどトレンド追従の強さが弱まることを確認した。これは金融リテラシーがバブルを抑制できる可能性を示唆する。一方、自信過剰の程度はトレンド追従の強さに有意な影響を与えていないことも確認した。 実験では被験者に50回の予測を課しているが、最初の5回及び最後の5回を除いた分析も実施した。最初の5回は実験への慣れや市場価格が安定的でないこと、また最後の5回は実験への疲れや飽きを考慮したことによる。サブサンプルでの結果はフルサンプルでの結果と異なり、金融リテラシーがトレンド追従の強さを弱める働きは観察されず、一方で自信過剰の度合いがトレンド追従の強さを強める結果を得た。実験規模が小さいため、安定的な結果が得られていないものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者38名を対象としたパイロット実験の実施は当初予定と比較すると小規模な実験とはなったが、十分に本研究課題の遂行に資するものであったと考えている。先行研究の結果を確認するとともに、金融リテラシー及び自信過剰の程度が期待形成に与える影響を確認できたためである。また、当初予定より実験規模が小さくなったのは被験者へ支払う報酬が予想より高くなったことによる。実験での報酬は予測精度に依存するよう設計しているが、実験前に数回シミュレーションした結果よりも、実験に参加した被験者の予測の方が精度が高かった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、パイロット実験として被験者38名を対象に資産価格に対する期待を問う実験を実施したが、実験規模が小さく、安定的な結果が得られなかったと考えている。2024年度は同様の実験を100人規模で実施し、より正確で安定的な結果を得ることを目標とする。また、これまでに得られた結果を学会等で報告し、多くの専門家の意見を聞きながら、研究成果をまとめた論文を執筆する。
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