研究課題/領域番号 |
23K01465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
西出 勝正 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40410683)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | マーケット・マイクロストラクチャー / 金融市場 / 取引所間競争 / 高頻度取引 |
研究開始時の研究の概要 |
金融市場における取引所間の競争や新たな金融サービス等が市場に与える影響を理論的に考察するものである.特に,取引所の新しい取り組みや技術の進展に伴って市場流動性や価格の情報効率性など市場の質がどのような変化するのかを理論的に明らかにしていくことが本研究の特徴である.
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研究実績の概要 |
研究初年度として関連の既存研究を調査すると共に独自の数理モデルの構築を模索した.その結果,2つの理論モデルを提案できるところまで到達した.以下,それぞれの内容を簡単に紹介する. 1) 高頻度取引の技術を持つマーケット・メーカーの価格付け問題を,Ait-Sahalia and Saglam (2024)を基に構築した.モデル上の特徴として,動学的な最適化問題ではなくした静学的な問題に落とし込んだ点である.具体的には,将来事象に基づいて差分方程式として各指値注文の価値関数を導出した点である.これにより問題を複雑化させることなく意味のある結果を示すことができた.特に,マーケット・メーカーの高頻度取引の程度や競争度合いに応じてビッド・アスク・スプレッドがどのように形成されるのかを示した点は学術的な貢献度が高いと考えている. 2) 先行研究であるCespa and Vives (2022)を拡張し,情報の非対称性が存在する金融市場における高頻度取引マーケット・メーカーの影響を考察した.具体的には,マーケット・メーカーが情報劣位にある状況において,高頻度取引の技術を有するマーケット・メーカーが流動性供給活動に占める割合と市場流動性や価格の情報効率性との関係を,比較静学を用いて分析した. 論文1については既に原稿が完成し,査読付国際雑誌への投稿が終わっている状況である.論文2については論文の完成に取り組みつつ,国内外の学会・研究集会等で報告し,論文の質を高めるべく活動しているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度ではあるが既に2件の独自研究が遂行中であり,内1件は既に投稿が完了している. 加えて,本科研費プロジェクトとの関連研究として以下の2本の論文が採択されており,順調に進展していると言える. 1) Ebina, T. and K. Nishide (2023), "Sequential Product Positioning and Entry Timing under Differential Costs in a Continuous-Time Model," Annals of Operations Research, 332(1-3), 277-301 2) Hayashi, T. and K. Nishide (2024), "Strategic Liquidity Provision in High-Frequency Trading," 93, 103168
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究活動として,先ずは上の2件の理論研究を進展させる.引き続き国内外での学会・研究集会での報告等を通じて国内外の研究者や実務家と意見交換し,更なる精緻化と改善に努めていく.特に,実証研究や政策への含意という観点から理論結果により説得力のある議論が展開できないか検討していきたい. 上の2件の研究では取引所内の市場参加者の特性を通じて取引所間の競争を考察してきたが,取引所の収益源等から競争およびその影響としての市場流動性等を理論的に考察できないか,合わせて考えていきたい.
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