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マルコフ過程の最終通過時刻の性質とファイナンス問題への適用

研究課題

研究課題/領域番号 23K01467
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07060:金融およびファイナンス関連
研究機関京都大学

研究代表者

江上 雅彦  京都大学, 経済学研究科, 教授 (40467395)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード最終通過時刻 / Loss-given default / 変位理論 / グリーン関数 / マルコフ過程 / デフォルト時の資産-負債比率
研究開始時の研究の概要

時間とともに不確実に変動する経済変数(株価、利子率、企業の資産-負債比率など)をマルコフ過程と呼ばれる数学的モデルで表現し、マルコフ過程が有限時間で消失する場合に、ある水準を最後に通過する時刻を研究の対象とする。企業がデフォルトするときの資産-資産比率の推計や、当該水準の上と下でマルコフ過程のパラメータが異なる場合の最終通過時刻の分布などを解明したいと考えている。デフォルト時における資産-負債比率のより正確な推定は貸出を行う金融機関のリスク管理上重要である。

研究実績の概要

最初の課題である「デフォルト時点における企業の資産負債比率の推計」については、任意の基準点αの最終通過時刻後(以下Lαという)の確率過程のダイナミクスを定式化することから始めた。この確率過程をPost-last exit processと呼び、点αにおける挙動、点αからの変位、および時間反転など、Post-last exit processの数学的性質について分析を行った。この分析は応用面においても効果をもたらした。研究代表者の以前の研究ではLα以後の確率過程のみを取り扱っていたが、この定式化により確率過程を初期時点からデフォルト時刻まで連続的に取り扱うことができる。その結果、Lα以前にfirm-value modelを、Lα以降にintensity-based modelを適用する自然なモデルを構築することができた。またモデリング上の工夫により、点αの水準はクレジットリスク市場(以下CDS市場という)のデータから適切に決定可能となった。こうしてCDS市場でimplyされているデフォルト時点の資産負債比率をシンプルな方法で推計することができることとなり、実際のデータで検証を行った。これらの成果をまとめた論文(”Post-Last Exit Time Process and its Application to Loss-Given-Default Distribution”)を完成し現在投稿中である。
次の課題である「最終通過時刻の分解」については、当初の計画通り適切なAdditive functional(加法的汎関数)による変換を用いて、当該確率過程を点αの上と下で動く2つのそれに分解した。それぞれの確率過程のLαにおける挙動を分析することにより、研究目的であるLαのラプラス変換の分解式を求めた。その結果からグリーン関数の分解式を得ることができた。グリーン関数は微分法方程式やポテンシャル論で重要な役割を果たすため、今後もこの分解式の様々な応用が期待できる。論文は"On Decomposition of the Last Passage Time of Diffusions"として完成し、現在投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初からメインと考えていた2つの課題について論文を完成し、両者ともArxiv.org にてウエブ公開することができたため。

今後の研究の推進方策

今後は投稿中の論文のアクセプトを目指すとともに、さらに発展的な研究が可能かどうかを検討したい(特に2番目の課題)。また最初の課題については、学会やセミナーで報告し他の研究者の意見を聴きモデル面での改良の余地があるかについても考えたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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