研究課題/領域番号 |
23K01477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 和郎 京都大学, 経営管理研究部, 准教授 (90633404)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 現金保有 |
研究開始時の研究の概要 |
日本企業は現金を貯め込みすぎである、またそのために人件費や投資を減らしている、との報道を見聞きする機会が増えた。しかし、現金保有と人件費や投資との関係について、企業レベルのデータを用いて統計分析をした学術研究は少ない。 本研究課題では、問1:企業は人件費を減らしてまで現金を増やしているのか 問2:企業は成長投資を抑えてまで現金を増やしているのか の2点について未公開企業も含むサンプルを用いて検証を行う。
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研究実績の概要 |
日本企業は現金を貯め込みすぎである、またそのために人件費や投資を減らしている、との報道を見聞きする機会が増えた。しかし、現金保有と人件費や投資との関係について、企業レベルのデータを用いて統計分析をした学術研究は少ない。 本研究課題では、問1:企業は人件費を減らしてまで現金を増やしているのか 問2:企業は成長投資を抑えてまで現金を増やしているのか の2点について未公開企業も含むサンプルを用いて検証を行う。 現金保有増加が問題視されているものの、申請者の調べたところ、学術的知見を基にして企業単位のデータを用いた精緻な分析は行われていない。そのために、どこに、どのような問題点が存在するのかが十分に検討できていないのが現状である。それらを踏まえて本研究では上述の報道の情報元である法人統計調査の個票データにアクセスした上で、以下の基本的な問いに答える。問1:どのような企業が現金保有を増加させているのか。問2: 現金保有の増加は、資金調達や投資活動とどのような関係にあるのか。 これらの問いに答えるために本研究課題においては、上述の新聞記事の元になっている企業法人統計調査の個票データをもとに分析を行う。 日本における現金保有に関する論文は調べた限りでは上場企業を対象としたものが多く、未公開企業も含めた広範囲に及ぶものは皆無に近い。冒頭のように現金保有については定期的に実務的にも議論になることから、本研究には一定の貢献があると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は法人企業統計調査の個票データを入手し、1980年代以降の長期間の時系列的変化を確認した。分析については時期による変遷を確認し、長期的には80年代から2000年代にかけての減少トレンド、その後の増加トレンドがあること、さらに規模別、収益別で確認した差異に、時期による異質性が存在することが確認された。 さらに現金保有の決定モデルを任意の複数時点について設定し、その後の超過現金比率を推定したところ、2020年以降の超過現金が高いのはリスクの高い企業、収益性の低い企業、小規模企業であることも確認された。 推定方法としては、サンプルがサンプリング調査であることから、一般的なde-meaningによるパネル推定ができないこと、しかし2年分の財務情報が存在することから一階階差モデルによるパネル推定も検討した。問題点としてはサンプルサイズが減少することが確認された。 また新型コロナ発生以降(2020年以降)に現金保有が増加したこと、とくに非断続的な増加が見られた。その後は減少しないことから、新型コロナにより企業の現金保有モデルが大きく変化していることが分かる。そのことの長期的な影響についても類似研究の確認などを行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、過去に整備したデータを活用して、より詳細な統計分析を実施する予定である。とくにパネル推計については網羅的に手法の検討を行う。 整備されたデータセットを使用して、詳細な分析を行う。 また現金保有の研究は、近年も米国において増加傾向にある。それらは上場企業を対象にした物であり、未公開企業も含めたものは少ない。そのことを本分析研究の利点として強調してきたい。そのために、最新の論文の包括的なレビューを行い、最新の研究動向の確認を行う。 同時にこれまで確認された長期個票データから得られたファクトファインディングは、いくつかのセミナーや学会などで報告を行うことにより、改善を図っていく。
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