研究課題/領域番号 |
23K01486
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 公立鳥取環境大学 |
研究代表者 |
谷口 謙次 公立鳥取環境大学, 経営学部, 講師 (70570323)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 貨幣統合 / インド植民地統治 / 貨幣の多様性 / インド貨幣史 / イギリス東インド会社 / 近代インド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、19世紀前半インドにおける貨幣統合政策、特に1835年に行われた統一貨幣である政府銀貨発行について、その実効性を鋳造所に焦点を当てて分析を行う試みである。従来の貨幣統合政策研究は政策形成論が中心で、実効性について十分に論じられてこなかった。そのため、1835年の政府銀貨発行により貨幣統合が起こったと結論付けられて、政府銀貨が現実に浸透したのか、浸透したとすればそれがどのような経緯を経たのか、これらについてはほとんど議論されてこなかった。本研究では鋳造所に着目して、政府銀貨発行の時期に鋳造所がどのような状況にあり、従来の銀貨から新銀貨への切り替えをどのように行ったのか、等を考察する。
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研究実績の概要 |
国内で一次及び二次資料の収集を行う一方、それらの分析を行った。特に、S.Ambirajan[1984]の分析から当該期英領インドにおける貨幣政策の経緯と問題点を抽出した。それによれば、第一に、各管区の政策責任者が金銀複本位制より銀貨本位制を志向したこと、第二に、取締役会の意向が政策に強く反映した点である。アンビラジャンによれば、取締役会の認識は次のようなものであった。18世紀後半の南アジアにおける貨幣システムは十分に機能しておらず、多様な貨幣の存在によりEICは莫大な損失を被っていた。また、複本位制にも不信感を抱いており、南アジアでは銀を中心とした単一本位制を導入すべきであるとした。 次に、イギリス議会資料の1846 (117) Calcutta mint.および1864 (133) East India (bullion)、そしてJ.Prinsep[reprint 2013, original 1858]の著作から当該期の貨幣鋳造額の変遷を分析した。とりわけ、これまで議論されなかったカルカッタ鋳造所の鋳造額を示せたことは重要であろう。これら3つの資料から明らかになったことは、次のような傾向である。それは、1820年まで鋳造額は増加し続け、その後1832年まで急減、1833年以降45年まで再び増加したというものである。 この増加傾向を理解するには2つの課題が存在する。第1に、この大量鋳造が需要を満たすものであったのか。第2に、大量鋳造を後押しした銀輸入は鋳造を意図したものだったのか、それとも対英貿易の復調の結果によるものだったのか。これらの課題等についてさらに研究を進めていく。 これらについては、公立鳥取環境大学サステイナビリティ研究所2022年度研究成果事業報告書に「19世紀前半の英領インドにおける銀貨統一政策と貨幣鋳造額─英領インドとベンガル─」というタイトルで論じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学務の忙しさと自らの持病のために、渡英による資料収集を断念し、大英博物館のHPを介して資料収集することにした。しかし、資料収集や分析が十分に進んでいない。今後はペースを上げて、EICにおける鋳造所および鋳造所委員会の収集分析を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
上記にある大英博物館HPを通じた資料収集と分析を行う一方、二次資料による貨幣政策研究のさらなる分析を行う。2025年度には社会経済史学会全国大会での報告を行う予定であり、その後論文化を進めていく。 他方で、現在研究協力者として参加している「中印比較史の創生 データベースに基づく総合的研究」(研究代表者:村上 衛)において、19世紀における中印の貨幣制度比較を行っている。そこでも、本研究の知見を活かして論文作成を行っていく。
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