研究課題/領域番号 |
23K01498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
村越 一哲 駿河台大学, メディア情報学部, 教授 (80265438)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 結婚出生力 / 完結出生児数 / 昭和戦前期 / 第1次産業従事者 / 農家出生力 / 農業従事者夫婦の結婚出生力 / 出生力転換期 / 農家の労働投入量 / 農村調査 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国の出生力転換過程を対象とした、これまでの研究では、昭和戦前期に結婚出生力が上昇した可能性は考えられてこなかった。しかしながら、夫が第一次産業従事者夫婦の「完結出生児数」が推計され,推計値が出生転換の開始時期である1920年代から1930年代にかけて上昇していることが示された(村越一哲、「両大戦間期におけるわが国の結婚出生力」『人口学研究』第58巻第1号、51-65頁)。この推計結果を受け本研究では、当該時期に「農家世帯では経営に必要な労働量の増加に応じて世帯主夫婦が出生数を増加させた結果,農業従事者夫婦の完結出生児数が上昇した」のではないかと考え,この仮説の妥当性の検討が目的とされた。
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研究実績の概要 |
本研究は「1910年代から1930年代において、農家世帯では経営に必要な労働量の増加に応じて経営者夫婦が出生数を増加させた結果、完結出生児数が上昇した」という仮説の検証を目的としている。すでに夫が「第1次産業従事者」の完結出生児数とみなせる平均出生児数の全国推計が示されている(村越一哲2022「両大戦間期におけるわが国の結婚出生力」『人口学研究』58、pp.51-65)そこで本年度では、仮説を構成する「完結出生児数の上昇」の確からしさを検討すること、推計結果が確からしいとすれば、それは全国的に生じた現象なのか,あるいは特定の地方で生じた現象なのかについて検討することを目的とした。具体的には次のとおりである。 まず村越(2022)に示された方法により『日本婦人の出産力』(総理府統計局1957)データから、3つの出生コーホート(1891-95・1896-1900・1901-05)を対象として、8つの地方(北海道・東北・中部・近畿・中国・四国・九州)ごとに、夫が「第1次産業従事者」夫婦の平均出生児数を求めた。次に、それらと「農林業・水産業人口割合」(一橋大学経済研究所、戦前期日本県内総生産データベース「産業別有業人口」 (長期経済統計)日本学術振興会「人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業」)および「農家の平均世帯人数」(南亮進1964『農家人口の推計 1880-1940年』(国民所得推計研究会資料D35)、一橋大学経済研究所国民所得推計研究会)を比較した。その結果、「完結出生児数の上昇」が確からしいこと、そしてそれは特定の地方で生じた現象ではなく全国的に生じた現象であることを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析作業については、年度当初の計画どおり実施することができたが,データ入力については、予定よりも少し遅れが生じたため,「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、立てられた計画にしたがって分析を進めてゆく予定である。具体的には次のとおりである。2024年度では、『農業経営調査』、『農業経済累計統計』を用いて「耕地1反あたりの労働日数」などの労働量を計算する。そして推計された、夫が「第1次産業従事者」夫婦の「完結出生児数」と「耕地1反あたりの労働日数」との関係について検討を加える。2025年度では、1930年代の農家世帯を単位として仮説の妥当性を多変量解析により検討する。さらに、個別世帯レベルでの分析結果と地方レベルの分析結果を総合し、仮説の妥当性を判断する。若干予定よりも遅れているデータ入力作業に関しては、音声入力等によって効率的なデジタル化をすすめる。
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