研究課題/領域番号 |
23K01507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
横澤 公道 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (20636394)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 経営者の感度 / ダイナミックケイパビリティ / 内部感度 / 行動オペレーションズマネジメント / 行動科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究において従業員の感情や態度、ぎくしゃくした人間関係、機械や設備の音や臭い等の人と人工物に関する目に見えにくい異常や機会を感知する管理者の能力を「管理者の感度」と定義し、新概念として紹介する。その上で、1) 感度が、組織や部下の改善行動などの個人パフォーマンスにどのように影響を与えるのか、2) 感度はいかにして高めることができるのか、の二つの問いを中心に実証研究を行う。またダイナミックマネジリアルケーパビリティを理論的土台に置き延長を試みることで内部資源論への貢献を目指す。本研究を通じて、管理者が現場に赴くことの重要性や企業がリモートvs.現場回帰か判断するための重要な視点を提供する。
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研究実績の概要 |
当該年度において、事前に収集した定性データを分析し、結果を論文にまとめ、国際学会に論文を提出する計画であった。研究成果として、主に2本の国際学会論文を執筆し、1月にオペレーションズマネジメント分野で欧州最大のEuropean Operations Management Association学会にアブストラクトを提出し、2本とも査読を通過した。次年度(2024年度)6月から7月に行われる学会で研究発表を行う予定である。
論文の内容、意義、重要性は以下の通りである。 ①タイトル:From Gemba walks to organisational insights: Unveiling the concept of internal sensitivity(現場視察から組織の洞察へ: 内部感度の概念を解き明かす)において、「経営者の感度」の概念化を行った。感度を内部と外部に分け、内部感度の研究がこれまであまりされてこなかったことを強調し、実務における重要性を議論した。さらに感度育成と、その組織への利益を議論した。
②タイトル:Prior knowledge on gemba’s impact on internal sensitivity: The moderating role of workplace curiosity(現場に関する事前知識が内部感度に与える影響: 好奇心の調整効果)において、ダイナミックケイパビリティの延長上に経営者の内部感度を位置づけ概念を紹介し、何がその育成に影響する要因かを議論した。本論文において現場での好奇心の影響を調整変数として、現場での既存知識と内部感度の関係を考察している。最後に、今後の研究で実証的に検証可能なモデルを提示した。このモデルが実証されることで、内部感度がいかにして育成されるかということを示唆できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において、「経営者の感度」に関連する概念研究の学会論文が2本執筆し、国際学会に受理されたことは、論文1本を提出するという当初の計画を上回る進捗である。一方で、当初計画していたインタビューデータを使った定性研究論文は、分析に時間がかかるため本年度は手が回らなかった。そのため、進捗状況の区分として「おおむね順調に進展している」とした。
当該年度において、仮説モデル構築ための論文を執筆している際に、感度についての理論的背景や、その育成と成果についての考察が当初の予想以上に展開することができ、その部分を新たな論文として切り出すことができたのが大きな成果であった。
さらに感度の研究の起点となった、従業員の負の感情(不安)と、個人のパフォーマンスの影響に関する研究においても書籍の一章が出版され(Yokozawa, K. (2024). Anxiety that drives kaizen: A strategic blueprint for kaizen implementation across borders. In A. Furlan & D. Powell (Eds.), A Research Agenda for Lean Management (pp. 197-214). Edward Elgar. )、さらに学会論文一本(Transforming Anxiety into a Flow through Continuous Improvement: Unveiling the Mechanism for Sustaining Individual Kaizen)も採択されるなど、間接的に感度の研究に役立つ研究にも進展があったことも進捗として付け足すことができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2024年6月下旬から7月初旬にかけて行われるEuropean Operations Management Association学会で研究発表を行うことが目下の予定となる。その後は、学会で得られたコメントや批判を踏まえて、感度の概念や概念モデルをブラッシュアップする予定である。それと同時並行で、概念の測定尺度の開発を行う方向で研究を進めていく。
経営者の感度は、新規概念であるため、測定尺度を独自に開発する必要がある。尺度の開発には信頼性と妥当性を確保する必要があり、それには予想以上に時間がかかる可能性がある。一方で、既存の研究から適切な尺度が見つかった場合は、研究が当初の予定よりも早く進む可能性もある。その場合は、アンケート調査票の作成とデータ収集の手続きを前倒しで行う予定である。尺度開発に関しては、科学的かつ厳密な手続きで進めつつ、時間とのバランスを考慮しながら慎重に進めていく。
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