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機関投資家の投資先企業への影響に関する国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K01520
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07080:経営学関連
研究機関明治大学

研究代表者

三和 裕美子  明治大学, 商学部, 専任教授 (10287881)

研究分担者 山田 剛志  成城大学, 法学部, 教授 (30282966)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードパッシブ投資家 / アクティブ投資家 / アクティビスト / ESG / エンゲージメント / イベントスタディ / 機関投資家
研究開始時の研究の概要

1980年以降「経済の金融化」の進展とともに、大規模な資金を運用する年金基金、投資信託などの機関投資家、富裕層の資産運用を主に行うヘッジファンドなどの投資ファンド資産残高が急激に伸長し、近年機関投資家への資産集中度がますます高まっている。このように影響力が大きくなっている機関投資家は投資先企業にどのような影響を及ぼしているのか。本研究においては、現代資本主義における機関投資家の影響力および役割を明らかにする。昨今の機関投資家の動向として注目すべき点は、ESG投資の拡大とアクティビストファンドの台頭である。本研究ではこれら2つの点に着目する。

研究実績の概要

本年度は、以下の主要な3つの研究活動を行った。まずQuick Factsetデータをもとに機関投資家の種類ごとの分析を行った。主要な機関投資家について、アクティブ運用、パッシブ運用、インパクト投資、アクティブファンドなどになど、投資スタイル、運用期間などについてその特徴を分析した。
第二にアクティビストファンドが日本企業と株価に及ぼす影響について分析した。株価については、アクティビストが介入した日本企業の株価や業績への影響についてイベントスタディによる実証分析を行った。さらに、アクティビストが取締役を送り込んだ企業の情報漏洩について、株価のBid-Ask Spread((高値―安値)/終値)を分析することで情報漏洩の可能性を指摘した。アクティビスト介入後の企業業績および設備投資に対する影響について実証分析を行った。その結果としてアクティビストの介入は日本企業の株価・株主還元には短期的には正の影響を与えるが、中長期的には負の影響を与えていることが明らかになった。その要因については今後の検討課題である。
第三に、国内外の資産運用開始者とアクティビスト、合計10社に対してエンゲージメントに関するインタビュー調査を行った。こちらのインタビューは日本国内でアクセス可能な機関投資家を対象とした。大手の資産運用会社はスチュワードシップ、責任投資レポートなどエンゲージメント活動に関する開示が進んでいるが、アクティビストの投資戦略、エンゲージメント戦略についてはインタビューを行ってより理解が深まった。また、パッシブ投資家のエンゲージメントについてはESGをトップダウン型で設定しているのに対して、アクティブ投資家やアクティビストについては個別企業の株主還元、経営戦略を中心としたテーマとなっていることなど違いが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は①Factsetデータから、機関投資家の種類、投資期間・スタイルごとに、各国主要企業の持ち株比率を分析する。②国内主要企業へのアンケート調査、③アクティビストファンドが介入した企業の株価、情報漏洩の問題についてイベントスタディ及び傾向スコアマッチング分析を行うことを予定していた。①、③についてはほぼ順調に進捗している。②のアンケート調査であるが、まずは機関投資家と企業がどのようなエンゲージメントを行っているかを明らかにするため、2024年度予定であった国内外の機関投資家に対するインタビュー調査を行った。また、企業に対するインタビューを今年度早々に行うことにより、アンケート項目を充実させたうえで、国内主要機関投資家と企業へのアンケートを調査を行っていく予定である。
2023年度の主要な活動としては、アクティビストによる日本企業への影響について株価・業績という観点で分析を継続的に行ったことである。また、アクティビストおよび資産運用会社のエンゲージメント状況について確認ができた。
当初の計画段階ではアンケート調査を先に行う予定であったが、インタビューを先に行った方がより実態に沿ったアンケート項目を作成することができると考え、本年度の研究活動と入れ替えた。企業へのインタビュー調査については2023年度に行うことが出来なかった項目である。この点については機関投資家へのインタビューと並行して行うよりも、機関投資家の声を聴いてからにするという判断であった。
研究計画の前後や研究計画に対して若干の遅れはあるものの、2023年度の研究進捗状況については概ね順調であった。

今後の研究の推進方策

2024年度の研究予定項目は、当初の計画では①企業価値・業績と機関投資家の種類を反映した持ち株比率とESG項目の相関関係について計量分析を行う。②日本・米国の機関投資家へのインタビュー調査を行う、という予定であった。
しかし、当初2024年度に行う予定であった日本、米国、英国の機関投資家(資産運用会社)、アクティビストなど10社(国内で対応)に対してはすでにインタビュー調査を行った。2024年度は、ノルウェーやスウェーデ、オランドのアセットオーナー(年金基金)を対象として、投資哲学やエンゲージメントに関するインタビューを現地にて行う予定である。また、国内機関投資家と企業に対してアンケート調査を行い、機関投資家と企業のエンゲージメントに対する考え方、効果などについて分析予定である。2023年度の行ったインタビュー調査をもとにアンケート項目を精査し、より充実したアンケート調査を行うことができると考える。
また、機関投資家のスタイル別持ち株比率と企業のESGへの取組みについては、パッシブ機関投資家持株比率が高い企業ほどESGへの取組みは進化している」という仮説のもと、ESGの取組みについては、ESGスコアや開示情報をもとにしたデータを取得して相関を分析する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] インパクトマネジメントに関する試論 ― 経営戦略における統合的ロジックモデルの活用に向けて ―2024

    • 著者名/発表者名
      関野麗於直・今村敏之・三和裕美子
    • 雑誌名

      ディスクロージャー & IR

      巻: 27 ページ: 69-78

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] サステナブル経営におけるロジックモデルとインパクト会計の統合的モデルの活用2024

    • 著者名/発表者名
      関野麗於直・今村敏之・三和裕美子
    • 雑誌名

      月刊資本市場

      巻: 464 ページ: 24-33

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 株式市場の欠陥でアクティビストが不当な利益を得る2024

    • 著者名/発表者名
      三和裕美子・山田剛志
    • 雑誌名

      中央公論

      巻: May ページ: 150-156

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本における株主アクティビズムの 企業パフォーマンスへの影響2023

    • 著者名/発表者名
      三和裕美子・タイセイギ
    • 学会等名
      日本経営学会関東部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] わが国機関投資家の株式保有比率と従業員の利益2023

    • 著者名/発表者名
      三和裕美子・壷内慎二
    • 学会等名
      日本経営学会中部部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] わが国機関投資家の株式保有比率と従業員の利益2023

    • 著者名/発表者名
      三和裕美子・壷内慎二
    • 学会等名
      日本経営学会全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 投資家資本主義の未来ーESG投資の行方ー2024

    • 著者名/発表者名
      三和裕美子
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      千倉書房
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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