研究課題/領域番号 |
23K01523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 新潟国際情報大学 |
研究代表者 |
内田 亨 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 教授 (50453460)
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研究分担者 |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
清水 さゆり 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (70445873)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 成長戦略 / イノベーション / 衰退産業 / 持続的成長 / サステナブル / 持続可能 / ビジネスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
水産業は、世界的には成長産業である。ところが、日本の水産業は、衰退産業として位置づけられている。事実、「売れない・獲れない・安い」の三重苦に苦しんでいる。そこで、衰退産業からの脱却の鍵となるのが養殖事業と言われている。本研究では、持続的成長モデルを構築するために、養殖事業の川上から川下をトータルに分析して、持続的成長モデルの要因を抽出することを狙いとしている。養殖事業は「稚魚→養殖→運搬→加工→流通」といったプロセスをたどる。 本研究では、天然魚の漁獲に頼らない「稚魚→成育→採卵→稚魚」による循環型のサステナブルエコモデルの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、今や衰退産業として位置づけられる日本の水産業において、新たな成長戦略として注目される養殖事業にフォーカスし、有効な持続的成長モデルとその成長モデルを支えるイノベーション創造を多角的な視点から探求することである。本研究では、「稚魚→養殖→運搬→加工→流通」といった養殖事業モデルの中でも、とくに中核となる養殖分野での陸上養殖に注目した。今年度は、新型コロナウイルスでの制限が少ないデンマークでの調査を実施した。同国でのサーモン陸上養殖の調査では、技術と市場に焦点を当てた。まず技術面としては、①欧州では、環境規制への適応やエネルギー効率の向上が重視されているため、ポンプなどの電力は地元の再生エネルギーを使用、②生け簀のサーモンの生育環境を細かくコントロール可能、③地下海水を取水して自然殺菌する方法を使用。これらによって消費地に近い場所で陸上養殖が可能になった。そのため、物流コスト削減と環境負荷軽減を実現し、輸送による二酸化炭素排出を最小限にとどめることが可能となった。こうしたことは、食料の輸送距離を示す指標であるフードマイレージにもつながることになる。一方、市場面では、次のことが明らかになった。①欧州の消費者はサステナブルへの意識が年々増え、環境に良いものを求める、②フードマイレージの観点から、外国から商品を持ってくるより、国内産を優先的に選択しようとする消費者も少なくない、③陸上養殖によるサーモンは海面養殖のものよりもコストが高くなり、消費者価格も高くなる傾向。こうした状況でも、消費者はデンマーク産のサーモンを購入する傾向にある。 以上から我が国への示唆としては、日本市場では基本的な品質や鮮度が重視され、認証制度も浸透していない。しかし、デンマークのようなサステナブルを意識した欧州モデルを考えていく必要があり、消費者の考え方や企業の取り組み姿勢が今後の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年5月8日から新型コロナウイルスが2類感染症から5類感染症に変更になったが、依然として、インタビュー調査先の警戒心が強く、予定していたインタビュー調査が延期されたため、当初の計画どおりには進んでいない。その分、二次資料収集や先行研究レビューに専念した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、新型コロナウイルスによる影響が軽微になってきたことを鑑み、国内インタビュー調査を主体にしていく。こうしたことによって、より多くの事例研究を蓄積していく。現在70ほどの「ご当地サーモン」が見受けられ、サーモンといっても魚種選定にもいろいろとある。こうした魚種や、養殖技術のノウハウ、飼料、市場、物流、人材等の視点から一つひとつモデル化していく。また、「水産業=衰退産業」という固定概念を払拭すべく、「新たな水産業→養殖事業→サステナブルでエコである成長産業」といった新奇な概念を構築していく。そのためには、天然魚の漁獲に頼らない「稚魚→成育→採卵→稚魚」による循環型のサステナブルエコモデルの構築を目指す。
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