研究課題/領域番号 |
23K01548
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 愛知産業大学 |
研究代表者 |
丸山 宏 愛知産業大学, 経営学部, 名誉教授・経営研究所研究員 (30181837)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 買収プレミアム / ファミリー企業 / 親族外事業承継 / 後継者難 / TOB / 株式公開買付 / のれん |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ファミリー企業の買収取引における価格形成の分析を行うことを基本的な目的としている。そのために、上場企業の株式公開買付(Take-over bid :TOB) における買収(TOB)プレミアムデータと、上場企業および非上場企業に共通して利用可能な財務データとを利用し、企業買収取引において価格情報が乏しい非上場企業について、インプリシットな買収プレミアムを含む価格関数を推計する。
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研究実績の概要 |
非上場のファミリー企業を対象とする買収の件数は着実に増加しており、買収によるファミリー企業の親族外事業承継の件数も著しく増加している。それにもかかわらず、ファミリー企業の買収取引には当事者間の相対交渉に起因する取引価格面での不透明性が残されている。本研究は、このファミリー企業の買収取引における価格形成の分析を行うことを基本的な目的としている。 そのために、上場企業の株式公開買付(Take-over bid : 以下TOB) における買収プレミアムデータと、上場企業および非上場企業に共通して利用可能な財務データとを利用し、企業買収取引において価格情報が乏しい非上場企業について、インプリシットな買収プレミアムを含む価格関数を推計する。 上場企業を買収するケースでは、株式市場外で買い手が株式を取得するTOBが原則であり、買付価格が時価を上回るプレミアムの率が把握できる.それに対して、非上場企業を買収する場合は、非上場企業と買手との相対交渉で売買価格が決められるため、TOBの場合のようなプレミアム率は観察できない。しかし、プレミアム率は観察できないとはいえ、現実の取引では、プレミアム(またはディスカウント)が生じていると考えられる。このプレミアムの大きさを把握することは、ベンチャー企業や後継者難企業の売買マーケットの効率化を図る上で非常に重要である。 推計では、TOBデータとともに、買収側上場企業の連結財務諸表キャッシュフロー計算書注記に記載される株式取得価額や「のれん」(goodwill)等の財務データ(以下「注記データ」)を利用する。注記データは日本の現行の会計基準に固有のデータであるため、欧米では本研究と同様のアプローチによる研究例は見られない。推計結果に基づいて、急速に拡大しつつあるが不透明な部分も残されているファミリー企業、非上場企業の買収取引の制度のあり方を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従い、2010年-2020年のデータを対象として、上場企業のTOBのプレミアムと「のれん」の関数関係の推定を行い、ファミリー企業ののれんデータを代入してインプリシットなプレミアムを推定した。23年5月、研究結果を関連学会の全国大会で報告した。上場企業のTOBのプレミアムと「のれん」の関数式について、マーケットタイミング仮説を応用したモデルの推計を行って、推計結果の制度の改善に取り組んだ。関連学会の23年11月の全国大会で結果を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、上場企業の買収プレミアムとのれんの関係の推計結果を利用して、直接観測できないファミリー企業の買収プレミアムの大きさを推計するという、本研究のリサーチデザインの有効性を確認できたと考えている。したがって、今後の研究は、これまでの研究の基本的方向性を維持しつつ、対象データの拡大とモデルの精度の向上を図ることにあると考える。そのため、2021-2023年までのデータの収集とデータベースの作成を進めるとともに、関連研究の結果を検討してTOBプレミアムの推計精度を向上させる作業を進める。
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