研究課題/領域番号 |
23K01555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平本 健太 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (00238388)
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研究分担者 |
深山 誠也 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50756682)
小島 廣光 星城大学, 経営学部, 特任教授 (80093029)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 社会福祉法人 / 高齢者介護組織 / 公益法人制度改革 / 新・政策の窓モデル / 政策形成 / 政策アクティビスト / 組織間関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,「政策形成における組織間関係」という複雑で広範囲な現象の全体像を,われわれが開発した「新・政策の窓モデル」を用いて経営学的に解明することである.分析対象の政策形成は,2016年3月に国会で成立した「社会福祉法人制度」の一連の改革プロセスである.第1に,社会福祉法人制度改革が「なぜ」そして「どのように」実現したのかを解明する.第2に,公益法人制度改革過程と,本研究の分析対象である社会福祉法人制度改革過程の比較分析を行い,両者の相違点と共通点を析出する.第3に,社会福祉法人の行動に,社会福祉法人制度改革いかなる影響を及ぼしたのかについて解明する
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研究実績の概要 |
今年度は,次に関する研究に従事した. 本研究リサーチ・クエスチョンである1)政策形成(社会福祉法人制度改革)が,なぜ,そしてどのように実現したのか,2)公益法人制度改革過程と社会福祉法人制度改革過程の相違点と共通点は何か,3)社会福祉法人の行動に,社会福祉法人制度改革がいかなる影響を及ぼしたのかの3点のうち,今年度は主として1)に関する文献サーヴェイおよび,3)に関する実証研究に着手した. 1)に関しては,小島・平本(2022)で解明した公益法人制度改革程と今回の分析対象である社会福祉法人制度改革過程とを比較することで,政策形成プロセスのいっそう本質的な理解が可能になる.こうした問題意識にもとづき,主として研究代表者である平本と研究分担者である小島が,社会福祉法人制度改革に関する2次データの収集・渉猟を行った. 3)に関しては,主として研究分担者の深山が従事した.北海道に所在する2つの高齢者介護事業を行う社会福祉法人を対象として聞き取り調査を実施し,戦略類型,組織特性,経営成果に関するデータ収集および分析を行った.こうして収集・分析されたデータにもとづいて論文の公刊(および公刊予定)を行った.公刊(予定も含む)された論文は,次のとおりである.深山誠也「高齢者介護組織の経営に関する事例分析―北海長正会とさつき会―」『地域経済経営ネットワークセンター年報(北海道大学)』,2024a.深山誠也「高齢者介護組織の外部環境―『社会福祉法人制度』と『介護保険制度』の影響―」『高知論叢』,2024b(近刊).深山誠也「高齢者介護組織の組織能力パッケージ」『經濟學研究』,2024c(近刊).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,3カ年計画の最初の1年である.上記のように本研究のリサーチクエスチョンは大きく3点であるが,そのうちの3)については本年度中にかなりの研究進捗がみられた.また1)についても,当初の研究計画に沿って進んでいる. 次年度は,引き続きリサーチクエスチョンの1)と3)についての進捗を図るともに,こちらも研究計画に沿って,リサーチクエスチョンの2)にも着手する準備を行っている. 以上のように,RQの1)については計画を上回る進捗が,3)については計画に沿った進捗が,そして2)については計画にしたがって次年度からの着手が見込まれている.以上のことから,順調に進展していると判断出来る.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については,次のとおりである. 第1に,社会福祉法人制度改革を「新・政策のモデル」にもとづく通期(準備期,形成期,実現期)の分析によって解明する.その際,社会福祉法人制度改革に関わった組織および個人の相互作用,すなわち「組織間関係と協働のダイナミズムに関する仮説命題」を導出するとともに,有効な社会福祉法人制度改革のタイプを析出する.この有効なタイプの析出については,今年度中に一部,解明が進んでいる. 第2に,上述のRQ2)に相当する,小島・平本(2022)で分析された「公益法人制度改革過程」と,今回の「社会福祉法人制度改革過程」の比較分析を行う.目的や政策形成過程が異なる2つの制度改革過程を比較分析することによって,政策形成過程の実態がより明らかにされることが期待出来る. 第3に,2017年4月に施行された社会福祉法人制度改革の前後で,社会福祉法人の行動が どのように変化したのかの比較分析を試みる.今年度の研究成果を踏まえて,社会福祉法人制度改革というマクロな環境の影響が,個々の社会福祉法人の行動というミクロな状況にいかなる影響を及ぼすかの分析が行われる予定である.
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