研究課題/領域番号 |
23K01561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
木川 大輔 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (10824980)
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研究分担者 |
足代 訓史 専修大学, 経営学部, 教授 (40583258)
寺本 有輝 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任助教 (50961934)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | プラットフォーム / 先行者優位性 / ネットワーク効果 / 後発企業 / 新規参入 / 模倣障壁 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、既に一定の規模まで成長したプラットフォーム(PF)企業が存在する製品・サービス市場に後発の新興企業が参入し、一定のシェアを獲得するという現象がしばしば観察される。しかし、後発企業が具体的にどのようにして既存PFが存在する製品・サービス市場への参入を可能にしたのかを論じる研究は殆ど行われてきていない。本研究では、なぜ、そして、どのようにして一定の規模に到達した既存PFが存在する市場へ後発企業が参入することができたのかについて、既存企業と後発企業の相互性に着目しながら比較事例研究を行い、普遍性の高い理論モデルを導き出すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、一定の規模に到達した既存PFビジネスが存在する製品・サービス市場において後発企業の参入を可能にする条件について、普遍性の高い理論モデルを構築することである。 研究初年度である2024年度は、①後発企業による参入の調査・蓄積、および②蓄積の一部を単一事例研究論文にまとめ、学術誌に投稿することであった。このうち、①の事例の調査・蓄積については、掘り下げて調査すべき事例の候補をリスト化し、検討の価値があるかどうかの精査を経て、研究分担者と手分けをしながら事例調査を行っている最中である。 また、もう一方の②単一事例研究論文にまとめるというタスクについては、本研究課題申請の段階で先行して調査が進んでいた料理レシピサービス市場において、老舗であり上場も達成している「クックパッド」の市場に参入した後発の「デリッシュキッチン」と「クラシル」の事例を分析した研究論文を学術誌に投稿し、査読付き論文として掲載に至っている。この研究においては、本質的にユーザーの需要が不均質的な市場においては、既存のプラットフォームによる製品・サービスでは満たされない潜在的・顕在的な需要が常に一定数存在しており、プラットフォーム・ビジネスの規模(ユーザ数)が大きくなるにつれて、満たされない需要によるユーザーセグメントのサイズが大きくなることが示唆された。後発企業がこのユーザーセグメントの需要を満たすようなサービスを提供しつつ、既存PFからの模倣(同質化)を防ぐ条件の整理が今後の検討課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「新規に参入した後発企業」の事例については、本研究が想定している条件に当てはまる現象が観察される製品・サービス市場のリストアップを行いながら、競争環境や個別企業同士の業績(売上高、市場シェア、その他KPI)などを並行して調査している最中である。業界としては、例えば、フリマアプリ、フードデリバリー、ビデオコミュニケーション、グルメサイト、ゲーム配信プラットフォームといったものが挙げられる。 しかしながら、これらの業界に含まれる後発企業は、その性質上、非上場企業である事が多く、得られるデータが限定的であるという問題に直面している。先行する企業や市場環境については情報が得られることが多いが、後発企業の業績情報などをどのように入手するかが目下の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で説明した問題を克服するため、①調査方法を変える、②対象となる業界を増やす(変える)、③異なるデータを用いて当該企業を分析するといった多面的な方法によって制約を克服する予定である。より具体的には、以下の通りである。 ①については、例えば調査会社や帝国データバンクなどのサービスを用いて非上場企業の業績やKPIの推移を収集(あるいは測定)する方法が考えられる。これについては、当初計画した予算の範囲で実現可能な見込みである。 次に②については、データの入手が困難な業界に固執せずに、別のサービス市場に狙いを定めてアプローチする方法である。こちらは、追加のエフォートが必要になるため、研究分担者の追加申請を行っている最中である。 最後に③については、企業の業績などの比較ではなく、例えば消費者アンケートから得られるデータなどを用いて企業間の競争の結果(あるいは経過)を測定する方法である。こちらについては具体的な分析枠組みを検討中であるが、仮に実行に移す場合の資金は既存の予算から捻出する見込みである。
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